【何ができる?】自動運転レベル3走行を可能に レジェンド改良新型のホンダセンシング・エリートとは
公開 : 2021.03.10 06:45
ホンダ・レジェンド改良型の「自動運転レベル3」機能。どんな条件で作動し、どんなメリットがあるのでしょう? 図解でご紹介します。
トラフィックジャムパイロットとは
ホンダは3月4日、自動運転レベル3での走行を可能にする「Honda SENSING Elite(ホンダセンシング・エリート)」を搭載した改良新型レジェンドを発表した。
高速道路上での渋滞時にシステムがドライバーに代わって運転操作を行うもので、国土交通省より同レベルの「自動運行装置」として初めて型式指定を取得している。
「ホンダセンシング・エリート」は、現在ホンダ車で展開されている「ホンダセンシング」の中でも、“エリートな”(精鋭・優れた)技術の象徴として命名された。
とくにトラフィックジャムパイロットは、自動運転レベル3の自動運行装置として実現した先進技術であり、限定領域で作動する「条件付自動運転車」のカテゴリーに含まれるもの。
作動時はシステムがドライバーの代わりに運転操作を行うため、ドライバーは走行中でもTV放送やDVDなどの動画を視聴したり、目的地検索などのナビ操作が可能となるわけだ。
「安全性・信頼性」を最優先
車両制御においては、3次元高精度マップや全地球衛星システム(GNSS)の情報を用いて、自車位置や道路状況を正確に把握。
新型レジェンドに搭載された多数のセンサーで周囲360°をセンシングしながら、レベル3での自動運転走行を実現する。
同時に車内のモニタリングカメラでドライバーの状態を見守り、こうした様々な情報をもとにメインECUが認知・予測・判断を適切に行い、アクセル、ブレーキ、ステアリングを高度に制御して上質でスムーズな運転操作を支援するのだ。
本田技術研究所/先進技術研究所のエグゼクティブチーフエンジニアである杉本洋一氏は事前の内覧会の席上、「システム開発においてもっとも重視したのは安全性・信頼性だ」と話す。
そのためにリアルワールドでのシチュエーションを想定できる専用シミュレーターを使い、約1000万通りのシーンを再現。
全国の道路約130万kmをリアル走行し、そのデータをシミュレーションに反映させて検証を重ねて来たという。これにより、万が一いずれかのデバイスに何らかの不具合が生じた場合でも安全性・信頼性に配慮できる冗長設計へとつなげているわけだ。
では、トラフィックジャムパイロットはどのように作動するのか?
作動するための条件は?
具体的には、ハンズオフで高速道路本線上を走行中、渋滞に遭遇して時速30キロになると自動的にシステムが作動。
そして、速度域が時速50キロを超えるとトラフィックジャムパイロットは終了し、システムから運転を引き継ぐように車両側から促される。
そのあとは、車線維持支援システム(LKAS)を伴ったアダプティブ・クルーズコントロール(ACC)へと引き継がれるといった流れだ。
この作動にあたってはまず、高速道路の本線上にいて自分の位置が正確に分かる状態にあり、その上で前後に車両が走行していることが基本条件。
さらに道路上の白線を認識できる状態にあることが必要で、そのために強い雨や雪などによる悪天候でないことや、濃霧や強い逆光など著しく視界が悪くないことが求められる。
また、ドライバーがいつでも運転を引き継げる状態にあることは言うまでもない。こうした条件をクリアして初めてトラフィックジャムパイロットは作動するのだ。