【純EVのエントリーモデル】量産版初試乗 メルセデス・ベンツEQA 250 189psで423km

公開 : 2021.03.20 08:25  更新 : 2021.04.27 07:03

メルセデス・ベンツの純EVとして、GLAがベースのコンパクト・クロスオーバーが登場。優れた点も多いものの、もう少しの磨き込みが欲しいと英国編集部は評価します。

EQブランドとして3番目のモデル

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
メルセデス・ベンツEQAの登場は、伝統ある自動車ブランドが一段シフトアップしたことを示している。ボディはコンパクト・クロスオーバーで、メルセデス・ベンツの純EVとして重要なエントリーモデルに位置づけられる。

ふた回り大きいクロスオーバー純EVのEQCが販売されているが、英国価格は6万5000ポンド(975万円)からと高価。EQAが間口を広げてくれることになる。フォルクスワーゲンID.4や、まもなく登場するテスラモデルYへ対抗する狙いもあるはずだ。

メルセデス・ベンツEQA 250 プレミアム・プラス(欧州仕様)
メルセデス・ベンツEQA 250 プレミアム・プラス(欧州仕様)

ちなみにメルセデス・ベンツとしてはEQCと、ミニバンのVクラスの純EV版、EQVに続く3番目のEQブランド・モデルになる。まもなくSクラスの純EV版、EQSも4番目として登場予定にある。

このEQSは、純EVのために開発された専用アーキテクチャをベースとする。だが、EQAがベースとするのは、GLAと同じプラットフォーム。GLCがベースのEQCと関係性は似ている。スタイリングも同様に、EQAはGLAにだいぶ近い。

その目的は開発コストを抑えつつ、競争力ある価格にするために違いない。メルセデス・ベンツの純EVを考えている人に、近づきやすいモデルを提供できる。

具体的に中身を確認していこう。今回試乗したのはEQA 250で、動力源はフロントタイヤの間に搭載された189psの電気モーター。66.5kWhのリチウムイオンバッテリーはホイールベース間に搭載され、シャシー構造の一部も兼ねている。

車重は2040kg、航続距離は423km

ボディの骨格はGLAに準じるが、サブフレームはロードノイズを減らすためにEQA独自の変更を受けている。エンジンノイズが消えることで、走行中のノイズが必要以上に目立つからだろう。

フロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式というサスペンション構成もGLA譲り。バッテリーによる車重増に対応するため、スプリングとダンパーのレートが見直されている。といっても、快適性重視の設定だ。

メルセデス・ベンツEQA 250 プレミアム・プラス(欧州仕様)
メルセデス・ベンツEQA 250 プレミアム・プラス(欧州仕様)

バッテリー関係の重量は、ケーターハム・セブンと同等の480kgにも及ぶという。結果、EQA 250の車重は2040kgと2tを超えている。

試乗車はプレミアム・プラスと呼ばれるトリムグレードで、2モードのアダプティブ・ダンパーが装備されていた。このグレードのホイールは通常20インチとなるが、今回はスタッドレスタイヤということで、ドイツ仕様標準の18インチだった。

航続距離はWLTP値で423kmとうたわれる。比較すると、同等のボディサイズで英国価格が6000ポンド(90万円)ほど安いキアeニロの場合、64kWhのバッテリーで453kmとなっている。

テスラ・モデルYは、まだ詳細不明ながら482km以上走れると予想されている。トップグレードのフォルクスワーゲンID.3は77kWhのバッテリー容量で、カタログ上は540kmも走れる。

航続距離の長いEQAも準備中だというが、数字は明らかになっていない。強力な電気モーターをリア側に追加した仕様も登場するだろう。メルセデスAMG EQAといった名称で。ハイパワー版の方が、強い支持を集めるかもしれない。

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