【ジュニアM5に近づいた】BMW M3 コンペティションへ試乗 最新G80型 510ps 前編
公開 : 2021.03.12 08:25
遂に試乗機会がやって来た最新のG80型BMW M3。従来以上にボディも馬力も大きくなりましたが、喜びも大きいのでしょうか。英国編集部が評価しました。
先代より大きく、170kg重くなったボディ
BMWが考えるMモデルの姿と、古くからのBMWファンが求めるMモデルの理想像との間には、高いギャップがあるのだろうか。M3といえば、コンパクトで軽量で、グループAレースのホモロゲーション・マシンを指した時代もあった。
そんな姿を期待しているのなら、諦めた方が良いかもしれない。もう35年も昔の話だ。
最新のBMW M3が、筆者の目の前に停まっている。写真ですでにご覧になった読者も多いだろう。
魅力的と感じるかどうかは、人それぞれ。今のM3では、フロントグリルより後ろ側は4ドアの3シリーズ・セダンがベースになっている。クーペの方は、先代から4シリーズがベースのM4へバトンタッチした。
3シリーズのボディが成長しているから、M3も一緒に成長している。全長4794mm、全幅1903mm、全高1433mmのボディで、車重は1730kgに仕上がった。
2014年に発売された先代のM3は、全幅はさほど違わないものの全長は123mm短かく、デュアルクラッチATを搭載したモデルでも車重は170kgも軽かった。6速MTを選べば、さらに軽くもできた。
2010年まで生産されていたE60型のM5ですら、最新M3より50kg重かった程度。M5の方がボディは少し長く、軽くない5.0LのV型10気筒エンジンを載せていたにも関わらず。
ここ10年で、どれだけクルマが大きくなっているのかがよく分かる。そろそろ成長は止まってもいい。今のM5も、もう少し減量してもいいと思う。
ツインターボ直6で510psと66.1kg-m
市場によっては通常のM3も選べるが、英国へ導入されるのはトップスペックのM3 コンペティションのみ。3.0L直列6気筒ツインターボエンジンは、510ps/5600-7200rpmの最高出力と66.1kg-m/2750-5500rpmの最大トルクを生み出す。
極太の最大トルクは低回転域から得られ、グラフのカーブも見事にフラット。その力を受け止めるため、M3では初めて四輪駆動がオプションとして2021年後半から選べるようになる。ただし、現時点では後輪駆動のみだ。
新しいM3にはMドリフト・アナライザーと呼ばれるソフトウエアが実装され、テールスライドがどれだけきれいに決まったか、クルマが5段階評価してくれる。横方向に進んだ距離と、ドリフトアングルの角度をもとに点数付けしてくれるらしい。
アングルを付けすぎて、テールでなぎ倒したデリネーターの本数ではないのでご注意を。ドリフトしやすいドライブモードを選ぶ必要もないようだ。もっとも、公道で無茶をしてはいけない。
このM3にはロードとトラックと呼ばれるドライブモードが用意され、エンジンとトランスミッション、ステアリング、ダンパー、ブレーキペダルのレスポンスなどを個別に切り替えてくれる。
インフォテインメント用モニターを介して、ドライバーが調整することも可能。設定はコンフォート、スポーツ、スポーツプラスという項目からそれぞれ選べる。ステアリングホイールに付いた赤いMボタンに、お気に入りの設定を登録できる。