【なぜ?】福祉車両でもNボックス売れてるワケ 「いつも自然体」キーワード
公開 : 2021.03.26 05:45 更新 : 2021.03.26 19:52
ホンダNボックスは福祉車両も売れています。「いつも自然体」という使い方を実現させたことが理由と考えます。
車いす移動車販売 5回総合ナンバー1
ホンダのNボックスは、福祉車両でも売れている。
Nボックスといえば「日本で最も数多く売れるクルマ」として、すっかり定着している。
直近では、Nボックスを主体としたNシリーズ(販売終了のNボックス・プラス、Nボックス・スラッシュを含む)は2017~2020年に、登録車を含む国内新車販売台数で4年連続で第1位。
また、軽自動車としては2015~2020年の国内新規届出台数で第1位となっている。
まさに、日本における国民車のような存在だ。
こうしたNボックスの存在感は、福祉車両の世界でも同じく大きい。
ホンダが各社のデータをまとめたところによると、2012年8月に初代NボックスのNボックス・プラス・車いす仕様車を発売してから、販売実績は2013年(6000台強)、2014年(5500台程度)、2015年(4500台程度)と3年連続で福祉車両市場での販売台数第1位となった。
その後、2018年4月にNボックスのフルモデルチェンジにおいて、Nボックス・スロープが発売されると、再び年6000台近くまで販売が伸びて第1位、続く2019年も第1位となる(2020年分は未集計)。
ライバルとなるA車(ミニバンで送迎向け主流)は4000台に推移し、B車(軽自動車)は3000~4000台の範囲で推移していると、ホンダは分析する。
こうした福祉車両トップ3の中では、Nボックスは、いわゆる新車効果が大きいと思える販売数の推移を示している。
福祉車両市場の実情とは?
次に、福祉車両市場全体についてみていこう。
まずは、福祉車両の種類だが、大きく2つのカテゴリーがある。
1つは、介護式だ。これは車いすを利用する人や、介護を必要とする人が、自ら運転するのではなく介護する人がいることを前提としている。
介護式の中にもさまざまなモデルがあり、助手席がスライドしたりチルトする「回転シート車」や、助手席や後席が電動モーターで上下の動く「昇降シート車」、そして車体後部の大型ハッチを開いてスロープや電動リフトで車いすのまま乗車できる「車いす移動車」がある。
もう1つが、車いすを利用する人が運転できるようにハンドル/アクセル/ブレーキなどに専用の改良を施した「運転補助装置付車」だ。
さらには、ホンダ「モンパル」やスズキ「セニアカー」などの電動車いすや、医療施設/福祉施設向けの専用車などもある。
こうしたなかで、Nボックスは介護車の「車いす移動車」に特化しており、Nボックスの自操車は現在のところ設定されていない。
ちなみに、ホンダの福祉車両の歴史を振り返ってみると、1995年にアクティバンで車いす仕様を出したのが最初だ。
後席のサイドリフト式は1997年のステップワゴンで採用を始めた。自操車では、1976年に初代シビックの時点で、テックマッチシステムを採用している。