【PHEVのSUV 3台を直接比較】BMW X3 x ボルボXC60 x ディスカバリー・スポーツ 前編
公開 : 2021.03.27 09:45 更新 : 2021.07.27 14:51
厳しくなるCO2排出規制に合わせ、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)化が進むSUV。総合力で勝るモデルはどれなのか、3台を英国編集部が比較しました。
PHEVが追加されたディスカバリー・スポーツ
数年前に発表された、ランドeというコンセプトカーをご存知だろうか。筆者は以前、英国ゲイドンにあるランドローバー本社のロビーでランドeについての話を聞き、充実した時間を過ごすことができた。
市販車の燃費効率を向上させる技術をアピールする、ショーケース的な役割を持っていた。ランドローバー・フリーランダーくらいのボディに、ダウンサイジング・エンジンのハイブリッドと、リアタイヤ用の電気モーターが積まれていた。2006年の話だ。
でもランドローバーの経営陣は、その可能性を見抜くことができなかったようだ。電動化されたランドローバーの需要を、イメージできなかったのかもしれない。でも今なら、間違いなく需要がある。
そんなコンセプトカーの発表から15年。プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のディスカバリー・スポーツ P300eが英国に導入された。遅れながらも、購入希望者が増え続けるPHEVのSUVに仲間入りすることができた。
フォードもアウディも、ボルボやフォルクスワーゲンも、PHEVのSUVをすでに販売している。新しいディスカバリー・スポーツ P300eは、そんな競争の激しいSUV市場で充分なプレゼンスを持つことはできるだろうか。
さらに自動車メーカーとして、平均のCO2排出量削減に充分な効果は得られるだろうか。おそらく、どちらも可能だと思う。といっても、ディスカバリー・スポーツ P300eはランドローバー初のPHEVではないのだが。
リアタイヤは電気モーターで駆動する
ディスカバリー・スポーツは、全世界で見ればジャガー・ランドローバーのベストセラー・モデル。その中でP300eは、手頃な価格とはいえない。しかし、今回のPHEVのライバル2台よりは安い。
英国では税制面でも有利だし、優れた燃費で経済的なメリットは大きいはず。では実際に所有し、毎日運転するドライバーにとって、お財布以外の説得力をディスカバリー・スポーツ P300eは備えているだろうか。
今回は、BMW X3 xドライブ30eとボルボXC60 T6 リチャージとの3台で比較試乗を行ったが、その答えは、少しの自信を持ってイエス。スペック上で優位なだけでなく、優れたドライビング体験も得られることがわかった。
上質で応答性が良く、快適。ただし燃費はカタログ値ほど伸びない。その他大勢のPHEVと同様に、運転スタイルにも依存する。ドライバー次第、というのは少し無責任かもしれないけれど。
ディスカバリー・スポーツ P300eのPHEVシステムは、ボルボに似ている。XC60 リチャージと同様に、リアタイヤ側を駆動するのは電気モーター。四輪駆動ではあるが、基本的には前輪駆動と近い。
ランドローバーながら、メカニカル・パーマネント方式の四輪駆動ではない。他方のBMWはクラッチを用いた四輪駆動。ドライブシャフトで前後のタイヤが結ばれている。
ブランドの伝統を考えれば、大英断にも思える。そのかわりEVモードでの走行効率を高めることができる。ドライブラインの摩擦や回転ロスが大幅に低減されるためだ。