【歴代最高の能力と楽しさ】フォルクスワーゲン・ゴルフRへ試乗 EA888型は320psに 後編
公開 : 2021.03.26 19:05
息を呑む動的性能とハンドリングを備えた、最新のフォルクスワーゲン・ゴルフR。そのぶん高くなった価格が悩ましいと、英国編集部は評価します。
もくじ
ー8代目ゴルフに通じる見慣れた車内
ー日常生活にも問題なく馴染める
ー操縦性はシリアスな四輪駆動スポーツカー
ー能力に長けたドライバーが楽しめるゴルフ
ーフォルクスワーゲン・ゴルフR(英国仕様)のスペック
8代目ゴルフに通じる見慣れた車内
最新のフォルクスワーゲン・ゴルフRではシステムが任意に判断し、コーナリング中にリア外側のタイヤをオーバースピードで回転させ、同時に電子制御デフのXDSを用いて、フロント内側のタイヤにブレーキを掛けられる。
アンダーステアを消し、旋回性能を高める効果が得られる。ミリ秒という高解像度で、アダプティブ・ダンパーも制御される。何度かAUTOCARでも触れてきた技術だ。その効果に期待が高まる。
予習はこのくらいにして、ドアを開いて乗り込んでみよう。既に見慣れた感覚が強い。ゴルフR専用の部分もあるものの、通常の8代目ゴルフと基本的には同じ。運転に集中しやすい。
ドアパネルやシートには、アクセントカラーのブルーがあしらわれ、アルカンターラがふんだんに用いられている。セミバケットとなる前席は、フォルクスワーゲンの歴代最高といえるほどサポート性もいい。
肉厚なリムのステアリングホイールには、触覚フィードバックを備えるタッチセンサーに加え、大振りなシフトパドルも備わった。GTIよりもいい。クルマの性能を実感させてくれる運転席の環境だ。
インテリアに足りないものといえば、驚くような要素。ゴルフRは今までもそうだった。だが、上昇した価格を考えると、もう少し特別さがあってもいい。プラスティック製部品も目立つ印象だ。
走り始めると、ゴルフらしい走りに心がリラックスしだす。先代のゴルフRのように。
日常生活にも問題なく馴染める
AUTOCARの読者なら、最新のゴルフRのスプリングレートは先代より10%硬くなり、フロントタイヤのキャンバー角が増やされたことを知っているかもしれない。そのぶん、硬い乗り心地を想像するかもしれないが、そんなことはない。
コンフォート・モードを選んでいれば、高速道路を快適に移動できる。継ぎ接ぎが多いような区間では落ち着きが弱くなるものの、郊外の道でも全般的には滑らかに路面をいなしてくれる。ロードノイズも小さい。
日常生活にも、問題なく馴染めるだろう。混んだ市街地を移動するような場面でも、運転する楽しさを感じられるはず。ゴルフGTIとの差は小さいものの、直接に比べるとステアリングに伝わる感覚や路面感はより多いようだ。
角度を増したキャンバーや、新しいアルミニウム製のフロント・サブフレームなど理由は多岐にわたると思うが、ゴルフRのステアリングは非常に素晴らしい。コンフォートやスポーツ、あるいはレースでも、操舵感は軽く正確。偽りがない。
文字数の限りもあるので、エンジンに話を進めよう。320psのEA888ユニットは、4.0LのケイマンGTSを脅かすほどの動的性能を発揮する。ただし6750rpmまで回しても、サウンドジェネレータを介しても、サウンドはどこか単調に聞こえた。
熱心に運転している限り、変速は素早く気持ちいい。しかし低速域では、少し不自然にもたつくこともあるようだ。