【環境に悪いクルマは罰金?】英国で導入進む「クリーンエアゾーン」とは 一部でハイブリッドも対象に
公開 : 2021.03.25 08:45
英国では都市部の大気汚染低減のため、CAZという規制導入が進んでいます。どんな影響があるのでしょうか。
もくじ
ー環境性能に応じて走行料金が課される
ーどのようなクルマが影響を受けるのか
ーバース
ーバーミンガム
ーレスター(予定)
ーオックスフォード
ーブラッドフォード(予定)
ーロンドン
ーブリストル
ーポーツマス(予定)
ーマンチェスター(予定)
ーグラスゴー、エジンバラ、ダンディー、アバディーン
ーその他、導入予定だが時期不明の都市
環境性能に応じて走行料金が課される
英国の各都市では2021年、超低排出ガスゾーン(ULEZ)やクリーンエアゾーン(CAZ)といった大気汚染低減政策の導入が加速する。
2019年4月にロンドンで英国初のULEZが実施されたのに続き、イングランドとスコットランドの主要都市でも同様の取り組みが確立される予定だ。
クリーンエアゾーン(CAZ)とは?
CAZの基本的な考え方は、渋滞緩和目的のいわゆる渋滞税が課されるコンジェスチョン・ゾーンと似ている。特定の都市内で、中心部を主としたエリアがCAZに設定される。このゾーン内を走行する車両で、汚染がひどいと判断されたものは、車両の大きさに応じて料金が課せられる。
HGV(重量貨物車両)やバスなどの大型車両で、排ガス規制(詳細は後述)に適合しない場合は、都市によって異なるが、約100ポンド(1万5000円)が請求される。自家用車やタクシーなどで排ガス規制に適合していない場合も、料金はやや低めだが、それでも1日10ポンド(1500円)程度を支払う必要がある。
CAZに指定されたエリアでは、ロンドン市内の既存のULEZと同様に、ドライバーへゾーンに入ることを知らせる標識が立てられる。また、ナンバープレート認識カメラも設置され、ゾーンを通過するすべての車両を記録し、データベースと照合して料金を決定する。
CAZは基本的に、1日24時間、週7日間休まず適用される場合が多い。
どのようなクルマが影響を受けるのか
CAZの目的は排出ガスを削減し、大気環境を改善することにあるので、ゼロ・エミッション車は何も心配する必要はない。しかし、ゼロ・エミッション車ではない車両は、課金の対象となる可能性がある。
どの程度の金額が課せられるのかは、次の2つの要素で決まる。
(1) 車両の排出ガス量
(2) 車両の型式(特定の型式は免除)
一般的に、CAZ内を無料で走行するためには、少なくともユーロ4の排出基準に準拠したガソリン車(つまり、2006年1月以降に登録された車両)、ディーゼル車の場合はユーロ6の基準に準拠した車両(2015年9月以降に登録)でなければならない。これらの基準を満たしていれば、ほとんどの場合で料金を支払う必要はない。
ただし、ユーロ4やユーロ6に該当しない車両であっても、車両の種類や通過したいCAZの種類によっては、料金の支払いを回避できる場合がある。CAZには4つのクラスがあり、それぞれ対象となる車両タイプが異なる。
(1) クラスA – バス、コーチ、タクシー、プライベート・ハイヤー(PHV)
(2) クラスB – バス、コーチ、タクシー、PHV、重量貨物車両(HGV)
(3) クラスC – バス、コーチ、タクシー、PHV、HGV、軽貨物車(LGV)
(4) クラスD – バス、コーチ、タクシー、PHV、HGV、LGV、普通乗用車
英国で導入が予定されているCAZのほとんどはクラスDだが、バースやポーツマスなど一部はクラスCのみで、こうした都市では普通の乗用車は支払う必要がない。ただし、首都ロンドンでは厳しい基準が設けられる(後述)。
なお、ほぼすべてのCAZでは、ゾーン内の居住者、ブルーバッジ所持者、障害者税クラスの車両に対して特別な免除を行っているが、免除の規模は都市によって異なる。
ここからは、どの都市がCAZを導入するのか、具体例を挙げていく。