【乗用車へも影響大】トヨタ/日野/いすゞの事業連携 クルマの未来どう変わる?
公開 : 2021.04.15 05:45
トヨタを仲介者とした日野といすゞのライバル同士の事業連携は、乗用車分野への影響も大きいといえます。
サプライズ会見での違和感
トヨタから2021年3月24日の昼12時、メールで同日15時からの緊急会見の案内が来た。トヨタ、日野、いすゞの3社共同会見だという。
時期的には、燃料電池トラックでの協業についてだろう、と筆者を含めて報道関係者の多くがそう感じた。
いわゆる、サプライズな会見ではあるが、なんとなく3社の目指す方向性が報道陣側からみえていたにもかかわらず……。
15時から始まった会見で、筆者(桃田健史)は「これは単なる商業車とか物流事業での話にとどまらず、乗用車にも大きな影響が及ぶ」という印象を持った。
一般ユーザーにとっても、他人事では済まされなくなるのではないだろうか。
公開されたニュースリリースには「いすゞ、日野、トヨタ、商用事業でCASE対応加速~新たな協業で輸送課題の解決やカーボンニュートラル実現への貢献を目指す~」とある。
会見タイトルにあるように、まずは、いすゞと日野、そしてトヨタという順番での連携である。
この順番どおりならば、会見の冒頭では、いすゞの片山正則社長が口火を切ってもおかしくないと思うのだが、実際にはトヨタの豊田章男社長が協業が目指す概要について説明した。
その中で豊田社長が強調したのは、自動車メーカー全体の将来を考える一般社団法人日本自動車工業会の会長としての発言だ。
トヨタが仲人 日野/いすゞの連携
自工会会長としては、日本の自動車産業とその周辺事業に従事する550万人の暮らしを守ること、そしてこれからも日本の成長に自動車産業が中心的な役目を続けていくことを強調した。
そのうえで、長年のライバルである、いすゞと日野に対してトヨタが仲介者となり、物流業界ツートップの連携が実現したと説明した。
具体的に、3社協業とは小型トラックにおいて、EV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)、自動運転技術、そして電子プラットフォームの開発に共同で取組む。
まさに、CASE(ケース)での連携だ。
近年、自動車産業を語るうえで必ずといって良いほど、このCASEという言葉が出てくる。
あらためて説明すると、C(コネクティビティ)とはクルマと車外とのデータ通信。A(オートメイテッド・オートノーマス)とは、自動運転や自律運転を指す。
次のSにはシェアリングや新しいサービスという意味が込められている。そしてE(エレクトリフィケーション)とは電動化である。
今回の会見で3社の社長は、CASEの中でも主に2つの領域、電動化とコネクティビティでの協業を強調していた。
これこそが、乗用車に大きな影響を及ぼすことになる。
なぜならば、物流は社会インフラそのものであり、社会インフラが整備されることが乗用車にとってのCASE実用化のベースになるからだ。