【トヨタの狙いは】トヨタ「GR 86」として再起動のワケ 自動運転/電動化すすむ中で
公開 : 2021.04.05 19:15 更新 : 2021.10.27 21:43
トヨタ86の再起動は、「生き残るためには、GR 86が必要だ」という強い意志の現れといえるでしょう。
2代目「ハチロク」世界初公開
86(ハチロク)が、GR 86として新たなるスタートを切った。
トヨタ・ガズー・レーシングがスバルと共同開発したGR 86の登場である。
全長4265mm×全幅1775mm×全高1310mm、ホイールベースが2575mmのFR車だ。
エンジンはスバル製の排気量2.4L水平対向型4気筒にトヨタの燃料噴射機構(D-4S)を採用。最大出力は235ps、最大トルクは25.5kg-mで、0-100km/h加速は先代より1.1秒俊足となる6.3秒である。
基本スペックを共有するスバル新型BRZは2020年11月にアメリカで公開されており、ウェブ系メディアなどでは動画による試乗インプレッションが掲載されている。
そうした情報からわかることは、BRZは先代と比べてエンジンパワーアップのみならず、走りの繋がり感が良くなり、ドライバーによる自在なクルマの取り回しがさらにやりやすくなったようだ。
そのうえで、新型GR 86は、新型BRZとは「異なる走り味」だと、トヨタは説明する。
初代86と初代BRZでも、走りの味付けをかえてきたが、新型ではさらに走りの差が広がっているのだろうか?
新型GR 86の日本発売は2021年秋ごろの予定なので、夏ごろには報道陣向けに先行試乗の機会があることを期待したい。
それにしても、トヨタはなぜ86にこだわるのか?
なぜ、自社生産ではなくスバルとの協業を選び続けるのか?
生き抜くための投資 トヨタの今
2020年(暦年)での、トヨタは952万8000台を売上げて、自動車販売台数世界ナンバー1となった。ここにはトヨタの実質的な子会社である日野とダイハツも含まれている。
5年ぶりに世界トップとなった背景には、ライバルである独フォルクスワーゲングループ(以下、VW)に対して、コロナ禍による世界各地での販売の落ち込み比率が低かったことが挙げられる。
主な要因としては、コロナ禍の影響が大きかった欧州市場への依存度で、VWはトヨタより大きいことなど、それぞれが得意な市場が違うことが挙げられる。
その他には、トヨタがデンソーやアイシンなど自社資本のサプライヤーが多いことも部品の安定供給につながったといえる。
こうして、企業としては万全な体制を敷くトヨタだが、豊田章男社長がいい続けている「100年に1度の自動車産業の大変動期を生き抜く」ために、年間1兆円レベルでの開発投資を続けている。
開発投資の主体となるのは、いわゆるCASEと呼ばれる、コネクテッド、自動運転、シェアリングなどの新サービス、そして電動化だ。
こうした中で、GR 86はどういった立ち位置になっているのか?
自動運転や電動化とは、真逆の商品性に思えるのだが、GR 86の狙いはどこにあるのか?