【なぜ?】日本市場でメルセデス独り勝ち 他メーカーと明暗 背景は

公開 : 2021.04.16 05:45  更新 : 2021.10.22 10:12

日本市場ではメルセデス・ベンツが着実にシェアを拡大しています。他メーカーはどうでしょう? 比較します。

独ブランド中心だがジープボルボも急増

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

2020年はコロナ禍の影響もあり、輸入車の登録台数は前年に比べて14.7%減った。国内全体では11.5%のマイナスだったから、輸入車は国内平均よりも落ち込みが大きい。

輸入車は趣味性が強く、価格帯も高いので「コロナ禍の中で買うはちょっと……」という気持ちが働いたこともある。

メルセデス・ベンツGLAクラス
メルセデス・ベンツGLAクラス

それでも半減まで達しなかったのは、クルマの商品特性によるものだ。

使えば経年劣化すれば部品交換の頻度も増えるから、定期的に乗り替える。販売店も故障などに備えて、緊急事態宣言の時も感染を予防しながら営業を続けた。その結果、クルマの売れ行きが保たれている。

そして2020年に新車として輸入販売された海外メーカーの乗用車登録台数ランキングは、1位:メルセデス・ベンツ(5万6999台)、2位:フォルクスワーゲン(3万6574台)、3位:BMW(3万5712台)、4位:アウディ(2万2304台)、5位:BMWミニ(2万196台)と続く。

これらドイツ車を中心とする上位5ブランドの登録台数を合計すると、2020年に新車として輸入販売された海外メーカー製乗用車の68%を占める。

ただし以前に比べると販売動向が変化している。

2010年の順位は、上から、フォルクスワーゲン/BMW/メルセデス・ベンツ/アウディ/BMWミニで、5ブランドの顔ぶれは今と同じだが、順位は変わった。

そして2010年には、上位5ブランドが海外メーカー製乗用車の77%を占めたが、2020年は前述の68%まで下がっている。

つまり2020年は、2010年に比べて、ドイツ車中心の販売傾向が弱まった。

その背景には、ほかのブランドの伸びがある。ボルボは2010年は7767台だったが、2020年は約2倍の1万5547台だ。ジープは1877台から1万3562台へ7倍も急増した。

プジョーも6021台から1万752台に増えて、相対的にドイツ・ブランド比率が下がっている。

2020年メルセデスは10年前の1.8倍売れた

輸入車の勢力分布が変化する中で、登録台数で注目されるのが1位のメルセデス・ベンツだ。

2010年の登録台数は3万920台で、輸入車の登録台数ランキングは、前述のとおりフォルクスワーゲンとBMWに次ぐ3位であった。それが2020年は、5万6999台を登録して1位になる。

メルセデス・ベンツAクラス
メルセデス・ベンツAクラス

つまりメルセデス・ベンツの登録台数は、10年前に比べて2万6079台増えて、比率に換算すれば1.8倍だ。フォルクスワーゲンと比べても、今のメルセデス・ベンツは1.6倍売れている。

ここまでメルセデス・ベンツの国内販売が急増した1番の理由は、日本へ輸入される車種が増えたことだ。

コンパクトSUVのGLAやGLB、ミドルサイズSUVのGLCとGLCクーペ、コンパクトなAクラス・セダン、CLAクーペ&シューティングブレークなどは、10年前には設定されていなかった。取り扱い車種の増加により、メルセデス・ベンツ全体の売れ行きも伸びた。

また車種別の新車登録台数ランキングをみても、メルセデス・ベンツは上位に数車種が入る。

2020年1~12月では、2位:Aクラス、9位:Cクラス、10位:CLA、13位:GLC、15位:Eクラス、19位:Gクラスという具合だ。

トップ20車の内、メルセデス・ベンツが6車種を占めた。

ちなみに1位はミニだが、この台数には、3ドアからクロスオーバーまでミニのすべてが含まれる。一般的な認識で車種別に捉えると、実質的にはAクラスが輸入車の販売1位だ。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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