【BMWとAMG 大関対決】BMW M550iサルーンか メルセデスAMG E 53 エステートか 前編
公開 : 2021.04.17 09:45 更新 : 2021.05.17 15:08
ブランドの頂点に君臨する高性能サルーンより1つ下。大関級といえるモデルが、従来以上に魅力度を増しているとする英国編集部。5シリーズとEクラスの特徴を探ります。
高価になった横綱級の高性能サルーン
ブランド頂点を飾る横綱級の高性能サルーンは、すっかり高嶺の花になってしまった。ひと回り小さいセグメントのモデルでさえ。
最新のG80型BMW M3の英国価格は、およそ7万5000ポンド(1125万円)から。ちょっと考えてしまう。でも1つ下の大関級グレードなら、少しの可能性が見えるかもしれない。
BMW 5シリーズにV8エンジンを載せたモデルが、M5より手頃に今ならまだ手に入る。M3より馬力は高く、トルクも太く、四輪駆動。0-100km/h加速も鋭い。それはM550i xドライブ。M5より4000ポンド(60万円)だけだが、英国では安い。
トップモデルより動的性能が下がるとしても、より日常的に乗りやすく、豪奢な装備の高性能サルーンだ。予算には少しの余裕も必要だけれど。そんな選択肢は、BMW以外にも存在する。
メルセデスAMGは高性能なEクラスとして、6気筒エンジンを搭載したE 53 4マティック+を提供している。BMWとの差別化を図るように、パワートレインは電動の力も借りるハイブリッド。より利便性の高いステーションワゴンも選べる。
読者はどちらがお好みだろう。四輪駆動でAMGの名を冠した高性能ワゴンか、通常の5シリーズと違わない、慎ましい見た目のBMW製4ドアサルーンか。
ひと目を気にするドライバーのために、グレードを示すエンブレムを付けいない指定も可能。E 53のオーナーの方が、外す率は高いかもしれない。スポーティなスタイリングのおかげで、見る人が見ればAMGだとわかってしまうが。
マフラーカッターですら、AMGは華やかな4本出し。BMWの方が目立たない。
V8ツインターボか直6ツインターボHVか
両車の英国価格は、350ポンド(5万円)程度の差しかない。しかしスペックシートを見比べると、明らかな違いがある。BMWのサルーンとして血統を受け継ぐ性能に対し、大きくモダンなメルセデスAMG製のワゴンという個性を表すように。
BMW製ツインターボV8エンジンは、530psを発揮しベルベットのように滑らかなサウンドを響かせる。反面、電動スーパーチャージャーとスターター・ジェネレーターによるハイブリッドの直列6気筒ツインターボは435ps。音響は、少しクラシカルで穏やか。
M550iの最大トルクは76.3kg-mもあり、0-100km/h加速を3.8秒以下でこなす。対してE 53は52.9kg-m/だが、0-100km/h加速は4.5秒。大きなビハインドというほどではないだろう。高速巡航なら12.8km/Lという好燃費も付いてくる。
スペック上での驚きといえるのが、2台で軽い方はE 53だということ。ハイブリッドを搭載するステーションワゴンにも関わらず。またM550iの方が、ミラーを含めた状態で50mmも全幅が広い。含めなければ、その差は20mm以下に収まるが。
もし友人にM5やM3、あるいはE 63を選ばなかった理由を説明したいと感じるなら、M550iやE 53は選ばない方が良いかもしれない。その上の存在にとらわれてしまう。
だが日常的に長距離を走り、一年のあらゆる気候や条件を問わず運転したい、あるいはする必要があるなら、M550iがM5やE63などに劣るということはないと思う。