【品の高いビッグサルーン】ボルボS90 リチャージT8へ試乗 PHEV 焦らずに走りたい

公開 : 2021.04.18 08:25  更新 : 2021.07.27 14:50

ボルボの大型サルーン、S90がフェイスリフトを受け、英国ではPHEV一択に。市街地では快適性ながら、高速域では陰りも出る様子。英国編集部が評価しました。

ハンサムなPHEVのビッグサルーン

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
サイズの大きくエレガントな高級サルーンは、少し旧世代感のあるコンセプトかもしれない。それでも、容姿端麗なボルボS90のルックスには見とれてしまう。

SUV人気の中で、意外なことにボルボのビッグサルーンは堅調に売れている。現行型の誕生から5年が経過する2020年、英国ではステーションワゴンのV90よりS90の方が人気は高かった。

ボルボS90 リチャージT8 Rデザイン AWD(英国仕様)
ボルボS90 リチャージT8 Rデザイン AWD(英国仕様)

2021年、ボルボは手頃な価格だったマイルド・ハイブリッドを英国のラインナップから外した。S90で選べるのは、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のリチャージT8一択となっている。

その一方で、V90にはマイルド・ハイブリッドが残され、PHEVは選べない。2021年の英国でS90に乗るには、最低でも5万5000ポンド(825万円)以上を用意しなければならない。2016年は、3万5000ポンド以下のディーゼルエンジンが選べたのだが。

英国では、BMW 5シリーズメルセデス・ベンツEクラスのPHEVの方が、値段は安い。4ドアサルーンを好むドライバーにとって、どちらも魅力的なブランドだと思う。

S90は、2021年のモデルイヤーに向けてフェイスリフトを受けた。バンパーやホイール、ウインカーなどのデザインに手が入っているが、ささやかな範囲に留まっている。ほかのボルボと同様に、ハンサムな容姿は変わっていない。

約400psでもスポーツサルーンとは呼べない

車内空間は、リラックスできる北欧のラウンジのよう。シート素材の選択肢が増え、インフォテインメント・システムには便利なコネクテッド機能が追加になっている。広々としていて、独特のオーラを放つインテリアだ。

集中ドアロックで鍵をかけた時の音や、グローブボックスの閉まる質感など、細部までこだわりを感じる。ヘッドレストは、後方視界を確保する目的で使用しない時は折り畳める。ほかのブランドも、真似して良いと思えるのだが。

ボルボS90 リチャージT8 Rデザイン AWD(英国仕様)
ボルボS90 リチャージT8 Rデザイン AWD(英国仕様)

PHEVのシステムは、ターボチャージャーとスーパーチャージャーで過給される2.0L 4気筒ガソリンエンジンが303psを発生。88psの電気モーターが組み合わされ、多くのPHEVサルーンより積極的なパフォーマンスを期待できる。

しかしS90クラスの大きさと重さがある場合、400psくらいの馬力は必要なことも事実。ボルボでは最もスポーティなスポーツ・サスペンションを備えていても、スポーツサルーンとは呼べないだろう。

ちなみにV90ではアダプティブ・サスペンションが選べるが、S90では選べないという。

S90は、穏やかで快適。満充電で40kmから48kmくらい走れる、EVモードで運転している時が一番心地イイ。ただし、アルミホイールは19インチが標準サイズで、舗装の古い路面ではロードノイズが少し気にはなる。

平滑さが失われた区間では、ボディがソワソワと動くような場面も見られる。一層ラグジュアリーな、インスクリプション・グレードに採用されるストロークの長いサスペンションなら、もっとマイルドなはず。

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