【V8を生で聞くならスパイダー】マクラーレン650S 英国版中古車ガイド 仕様は価格に反映
公開 : 2021.04.26 08:25 更新 : 2021.07.12 18:45
MP4-12Cより新しく、720Sより安価だった650S。マクラーレン製スーパーカーのクラシックとして、今も存分に楽しめる1台といえそうです。
性能を大きく高めた650S
今ほどピリピリしていなかった2018年。サリー州ウォキングから生み出された2番目の量産スーパーカー、MP4-12Cの取引価格は7年で半分にまで下がっていた。
2020年に確認した時も、英国では6万8000ポンド(1020万円)も出せばMP4-12Cのオーナーになれる状況だった。スーパーカーとしては完璧とはいえなかった、ドライビング体験が価値を伸ばせずにいるようだ。それでは、1つ新しい650Sはどうだろう。
それまでのマクラーレンとスタイリングやメカニズムは似ているが、単なるフェイスリフト版とは異なる。当時2万ポンドの価格上昇に合わせて、最高出力は650psへ、最大トルクは69.0kg-mへ増強。
ドライバーとの一体感を濃密なものとするため、トランスミッションは高速化され、シャシーにも大幅な改良が施されている。待望といえる内容だった。
タイヤサイズはワイドになり、ホイールは軽量な新しい鍛造へスイッチ。ボディの空力特性も見直され、ダウンフォースは27%も上昇していた。サスペンションも引き締められ、強化されたセラミックブレーキも採用されている。
車内も刷新し、アイリス(IRIS)と呼ばれた古風なインフォテインメント・システムは、より有能なシステムへバトンタッチ。内装にはアルカンターラが贅沢に用いられている。
一番の目玉といえるのが、大胆なフロントまわりのデザイン。マクラーレンのフラッグシップ・ハイパーカー、P1に触発された造形は、現行モデルへも受け継がれている。
価格はスペックや装備で大きく変化
650Sは、ハードトップとオープントップのスパイダーが提供されたが、意外なことにスパイダーの方が人気は高かった。全体の台数の75%を占めている。
スパイダーなら、3.8LのV8サウンドを直接運転しながら楽しめる。フォールディング・ルーフのメカニズムも、コンパクトで厄介に感じることもない。補強が施されているが、重量増は40kgほどに留められた。
オープンで楽しめるスリリングな体験との引き換えの、動的特性のペナルティは最小限。今となっては、スパイダー人気は好都合だったといえる。650Sの生産が終了したのは2017年。その後、手強い720Sへ交代している。
英国では10万ポンド(1500万円)ほど出せば650Sの中古車が見つかるが、同価格帯の他社のスーパーカーほど怯える必要はない。金属の腐食や安価なOEM部品、怪しい整備記録などを過度に心配しなくても大丈夫。
ただし、すべてのマクラーレンが同条件ではない。650Sはスペックや装備で取引価格も大きく変化する。新車時の注文フォームの内容が、そのまま流通価格に反映している。
最も高価格帯に属する650Sの場合、サスペンション・リフターシステムやスポーツエグゾースト、メリディアン社製のサラウンド・システム、カーボンファイバーの内装トリムなどが装備されている。
そして、V8サウンドはスパイダーの方が最高に楽しめることは間違いない。