【デジタル化した車内の是非】メルセデス・ベンツS 400d 4マティック L AMGラインへ試乗 前編
公開 : 2021.04.28 08:25
ショーファードリブン前提の、ロングホイールベース版Sクラス。モデルSとしのぎを削る優雅で上品なラグジュアリーモデルを、英国編集部が評価しました。
英国ではボトムグレードから展開
Sクラスには、メルセデス・ベンツ最新のパワートレインやサスペンション、安全技術などが常に投入されてきた。英国の一般道を走り始めた最新のW223型Sクラスも、同じことがいえるだろう。
ただし、まだそのすべてを享受できるわけではない。英国へ導入されるSクラスの場合、得られる機能はまだ一部に限られている。
プラットフォームやサスペンションが大刷新されたSクラス。カメラ映像を利用した予測式のEアクティブ・ボディコントロール・サスペンションに、四輪操舵システムと四輪駆動システムを搭載している。
電圧48Vで稼働するマイルド・ハイブリッドのほか、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)も選べる。リアシートで長距離を移動するVIPを事故から守るために、フロントシート背面にエアバッグも搭載された。世界初の技術だという。
機能が制限されるとはいえ、自律運転機能も遠くない内に利用可能になるはず。速度の遅い渋滞時や指定された路線、特定の駐車場などでは、Sクラス自らが大きなボディを操縦してくれる。
ただし英国のSクラスの場合、まだすべての機能を利用できるわけではない。今のうちにどうしても、という人はマイバッハ版のSクラスを選ぶ必要がある。
メルセデス・ベンツは、Sクラスの英国での販売をボトムグレードから展開している。当面は、マイルド・ハイブリッドの6気筒ガソリンターボと、2種類のディーゼルエンジンが選択肢だ。
3.2mのホイールベースが生むゆとりの車内
ボディは標準ホイールベース版と、ロングホイールベース版のLが選べる。この中で、後輪駆動は350dのみ。アダプティブ・エアサスペンションが、すべての英国版Sクラスに標準装備される。
英国で330psのS 400dを選択すると、自動的にロングホイールベース版になる。今回試乗したクルマも、それだった。
全長は長い。先代よりひと回り大きくなっていて、さらに長いロングホイールベース版は5283mmもある。ホイールベースだけでも3.2m位あるから、その内側に小さな3輪自動車のリアイアント・ロビンが収まってしまう。
リアシートで自動車移動を楽しむオーナーは、快適なシートに身を委ねられる。電動リクライニングとオットマンはもちろん、ヒーターとベンチレーション機能が備わり、ソフトな枕で首への負担も減らしてくれる。
ただし、フロントシートにマッサージ機能は備わっていない。車内空間に不足はなく、足もとの広さには感心するほど。頭上空間も充分で、狭く感じるのは身長が190cmを超えるような体型の人に限られる。
荷室容量ももちろん大きい。大きなスーツケース数個は問題なく積めるはず。
ちなみに先代のSクラスには、スリーピング・シート機能があった。フロントシートを前方にスライドさせ折り畳み、リアシートをベッドのように倒し、ほぼフラットな状態にすることが可能だった。
これも、リアシート用のフラットスクリーン・モニターと同様に、マイバッハ版から順次投入されるだろう。登場したら一度試してみたい。