【3代目も実力派】いすゞD-マックス V-クロスへ試乗 謙虚な労働者から一新 前編

公開 : 2021.05.03 08:25

いすゞのトラックといえば、使える道具のような存在。ライフスタイル重視のユーザー向けにアップデートされた3代目D-マックスを、英国編集部が評価しました。

3代目へ一新したD-マックス

text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
AUTOCARでいすゞに触れる時は、ほとんどがD-マックスについて。英国で販売される、商用車以外で唯一のモデルだからだ。

日本のように、いすゞといえば英国でも商用車メーカー。そのためか、一般的なファミリーの間では、D-マックスの認知度が高いとはいえない。英国で2020年に売れたD-マックスは、3154台に留まっている。

いすゞD-マックス V-クロス(英国仕様)
いすゞD-マックス V-クロス(英国仕様)

同じ期間で、トヨタハイラックスを約6000台、フォード・レンジャーを1万3000台、英国人は購入しているのに。しかし、いすゞも黙ってはいない。新しいD-マックスの仕上がりを見ると、調子は好転するかもしれない。

現行型のD-マックスは3世代目。大きな変化を遂げている。英国へ導入されて間もなく一度試乗しているが、東南アジア市場では一足早く2019年後半から販売が始まっていた。

ピックアップ・トラックの大市場の1つ、タイではトヨタ・ハイラックスを越える台数を売りさばいている。同じアジア圏でも、日本へ正規導入されていないのが残念に思える。

2代目のD-マックスは、手頃な価格のオフロード・トラックとして、商用利用が前提の質実剛健なクルマだった。インテリアにはプラスティックが溢れ、ナビなどのインフォテインメント・システムは冴えず、エンジンも極めて実務的。

それでも3500kgの牽引能力を備え、装備は充実。2代目の評価は悪くなかった。

謙虚な労働者から大きく変化

今回運転したD-マックスは、まったく新しい3代目。従来のモデルとは異なる層も視野に入っていることは、明らかだろう。

「よりスマートで、強く安全に」という今日の志向へ合わせるように、ダーククロームのフロントマスクとSUV風のダッシュボードが与えられている。謙虚な労働者だったピックアップが、大きく変化したことを主張するようだ。

いすゞD-マックス V-クロス(英国仕様)
いすゞD-マックス V-クロス(英国仕様)

三菱L200や日産ナバラ、フォルクスワーゲン・アマロックといったピックアップのライバルは、英国市場から撤退する流れにある。英国いすゞの代表を務めるウィリアム・ブラウンは、D-マックスにとって追い風が吹いていることを認めている。

いすゞは2025年までに、年間1万台のD-マックスを英国で販売したいと考えている。増加するであろう需要に備えて、ディーラーを11か所も増やした。その中の8拠点は、これまで三菱のディーラーを営んでいた場所。良い作戦といえそうだ。

今回試乗したのは、D-マックスのトップグレードとなるV-クロス。英国価格は付加価値税抜きで3万2759ポンド(491万円)から。ダブルキャブのAT車で、いすゞは一番の売れ筋になると読んでいる。

ガンメタル・グレーのボディトリムにカッコイイ18インチのアルミホイール、LEDのデイタイム・ライトを装備。オプションのパールホワイトで塗装すれば、商用車的なエントリーグレードとは別物と呼びたくなる容姿に仕上がるだろう。

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