【英国スポーツカーの新時代】ロータス 新代表インタビュー 「復活」をかけた劇的な変化
公開 : 2021.04.28 17:25
ロータスを率いるマット・ウィンドルにインタビュー。新型エミーラやEV、ブランド戦略について聞きました。
復活と躍進を目指して
ロータスは長い低迷期を経て、2028psのハイパーカー、エヴァイヤを筆頭に、すべてのラインナップを一新して復活する。AUTOCARは英国の伝統的なスポーツカーブランドの劇的な変化を指揮する人物に会った。
ロータスのトップはこれまで何度も入れ替わってきた。ダニー・バハールが同社を去ることになってからまだ9年も経っていないが、新マネージング・ディレクターのマット・ウィンドルはそれ以来5人目のトップとなった。前任者のフィル・ポップハムは、CEOに就任してから2年が経過したばかりである。
しかし、前任者の多くとは異なり、元エンジニアリング・ディレクターのウィンドルのトップ就任は整然としており、ポップハムが策定した「ビジョン80」計画へのコミットメントを維持している。この計画は、早ければ来年にも新型車を投入し、電動化への移行と販売台数の大幅増に向けて積極的に動くというものだ。
愛想がよくて親しみやすく、エネルギッシュなウィンドルは、飄々とした前任者たちとは対照的な人物であり、新たな挑戦への意欲を示すような経歴を持っている。ウィンドルは、1998年にロータスに入社し、初代ロードスターの開発に携わった後、テスラに移籍した。その後、日産、ケータハム、ボルボなどでキャリアを積み、スポーツカーのスタートアップ企業であるゼノスにも参加した。
ジーリーがロータスの買収を完了した2017年に再入社し、「ここにはちゃんとした自動車会社があり、必要なのは製品と投資だけだ」と気づいたという。そして、「それが今わたし達が行っていることだ」としている。
「ヘセル(ロータスの本拠地)はこれまでで最も現代的で、世界で最も新しい自動塗装工場を持ち、まったく新しい製品を生み出す世界クラスの製造施設となるでしょう」
人が望むものを作る
1月にウィンドルがマネージング・ディレクターに就任した時点で、エヴァイヤとエミーラ(これまでタイプ131として知られていた新モデル)の開発はすでにほぼ完了していた。エリーゼ、エキシージ、エヴォーラの後継となるエミーラの開発は、ウィンドルにとって大きな課題となっている。
「今日、『発売まであと80日だ』と言っている人に会いました。”何か月”ではなく”何日”と言っていて、それだけ間近に迫っているということです」
エミーラは、ロータスにとって最後の内燃機関車であると同時に、これまでのトリオよりも幅広い訴求力を持つことを目指している。
「これまでのロータスは、人々が欲しがると思われるものを作って、それを市場に出すことに少し罪悪感があったのかもしれません。わたし達は今、人々が本当に望むものを作ろうとしています」
エミーラは、さまざまなアクティブ・セーフティ機能によって日常的な使い勝手が向上しているが、独自のハンドリング特性を生み出す電動油圧パワーステアリングなど、長年確立された技術も継承されている。
「EPS(電動パワステ)の方が簡単ですよ」とウィンドルは言う。「ですが、そこはまだ譲れません。ただ、2027年に欧州で施行されるGSR2(車両安全規制)では先進安全装備の搭載が義務化されるので、EPSが必要になるでしょう。安全装備は本当に重要なものです」