【出だし好調】新型ホンダ・ヴェゼル高級化/上質化の背景 米SUVが影響?
公開 : 2021.04.30 05:45
新型ホンダ・ヴェゼルの上質化の背景には、米SUVのダウンサイジングなどの海外のSUV事情があると分析します。
出だし順調 フィットの二の舞避けたい
外観デザインについて賛否両論ある、ホンダの新型「ヴェゼル」。
ネットや自動車専門誌では、ヴェゼルにトヨタなど他ブランドのデザインテイストがあるとして、ホンダに対して厳しい意見も見受けられる。
そうした中で、販売の立ち上がりは順調に推移している。
ホンダは2021年2月18日にオンラインで新型ヴェゼルのワールドプレミアをおこない、4月23日から正式に発売した。3月15日から先行予約販売を開始しており、4月19日時点で月間販売計画台数5000台の3倍以上となる約1万7000台を受注した。
とはいえ、こうした新車効果を今後どの程度維持できるのか、ホンダとしては期待を不安が入り混じっていることだろう。
なぜならば、ヴェゼルとパワートレインを含めて部品の共通性が高い、コンパクトカーのフィットでは、2020年2月発売からの新車効果が夏前には息切れしてしまい、2021年に入ってからはライバルのトヨタ・ヤリスや日産ノートに対して販売で苦戦を強いられているからだ。
ホンダとしては、海外では「HR-V」と呼び、日本ではヴェゼルを名乗るこのクルマについて、新世代ホンダのシンボルの1つとして重要視している。
その背景にあるのが、世界的なSUVシフトに加えて起こっている、新たなる社会現象だ。
SUV多角化の本格的な始まり
新しい社会現象とは、SUVに対してのさらなる需要の拡大だ。
とくに、グローバルでコンパクトカーと呼ばれるCセグメント、また日本でコンパクトカーと呼ばれるBセグメントでのSUVモデルの多様化が目立つ。
本来、BセグメントとCセグメントでは4ドアセダンが主流で、そこから2ドアクーペ、3ドア/5ドアハッチバックやワゴンへと派生モデルが広がる形が世界の各メーカーにおける定石だった。
4ドアセダンの代表格は、ホンダ「シビック」やトヨタ「カローラ」であり、3ドア/5ドアハッチバックではフォルクスワーゲン「ゴルフ」である。
一方で、90年代中盤から後半にかけて、アメリカでは本来は商用車であるフルサイズピックアップトラックやミッドサイズピックアップトラックの乗用化が進み、またこれらトラックの車体をベースとするSUVの需要が高まっていった。
そうしたSUV市場拡大を、筆者はこれまで20数年間にわたりアメリカ各地の現場で体感してきた。
その中で、2010年代に入るとSUVのダウンサイジングのトレンドが生まれる一方で、アメリカでの売れ筋であるホンダのシビック/アコード、またトヨタのカローラ/カムリの販売実績が徐々に低下していった……。