【磨き込まれた俊敏性】ベントレー・コンチネンタルGT スピードへ試乗 W12気筒は659psへ
公開 : 2021.05.19 08:25
ラグジュアリーなグランドツアラーの動的性能を、大幅に引き上げたGT スピード。サーキットでの試乗に限られたものの、明確な進化を体験できたようです。
後輪操舵や電子制御デフを初採用
ベントレー・ベンテイガ・スピードとは異なり、英国でも正式導入が明らかになったコンチネンタルGT スピード。もちろん高い人気を得るのは、アメリカ市場。ちょっと怪しい商売の人にも、好まれる傾向はあるようだが。
英国でも、高性能クーペのコンチネンタルGTの支持は高い。ドライバーズカーを好んで乗る人が多いお国柄だからだろう。車重が2273kgあっても構わない。
新しいコンチネンタルGT スピードは、基本的にはコンチネンタルGTだ。ベントレーはこれまでの長い歴史の中で約20万台のクルマを生産してきたが、その半分以上は、モダンなコンチネンタル系が占めている。
GT スピードでも、ツインターボで過給する6.0L W12気筒をフロントに収め、8速デュアルクラッチATを介して四輪を駆動。アダプティブダンパーにエアサス、電圧48Vのアンチロール・システムも備える。いかにもコンチネンタルGTといえる内容だ。
最新のGT スピードで最大の特長となるのが、コンチネンタル系としては初めてアクティブ・リアステアリングを獲得したこと。電子制御のリミテッドスリップ・デフも初採用となった。
カーボンセラミック・ブレーキもオプションで選べる。試乗車にも装備されていた。
これは初登場ではないものの、他メーカーを含む量産車としては最大径のディスクを持つことが自慢。22インチという大径ホイールの裏側には、440mmのブレーキディスクが隠れている。
659psと91.6kg-mを生み出すW12気筒
今回の試乗車は左ハンドルで、シルバーストンのグランプリ・サーキットを5周するだけに制限された。助手席には、ベントレーのエンジニアが座っている状態で。
「これはサーキット用のクルマではありません。ポルシェ911 GT2 RSのようなクルマは目指していないのです」。と助手席の技術者は話すが、今日はサーキットを出られない。
この環境では、一般道での乗り心地を確認することは難しい。ドライバーズカーとして自由に走り回れるのは、9月までお預けとなる。
GTスピードのインテリアは、沢山のアルカンターラにツートーンカラーを演出するトリム、スピードであることを主張するエンブレムなどで仕立てられる。極めて豪奢な雰囲気は変わらない。
シートのサイズは大きく、とても座り心地がいい。しかし新しいハードウェアが、激しくドライバーを揺さぶる。
改良を受けたW12気筒エンジンは、659psの最高出力と91.6kg-mの最大トルクを発生。最大トルクは1500rpmから湧出する。レブリミットは少し控えめな6500rpmに設定されるが、必死にエンジンを回す必要はない。レスポンスは素晴らしい。
基本的にGTスピードは後輪駆動。ドライブモードをスポーツにすると、フロントタイヤへ最大30%まで駆動力が分配されるようになる。試乗では、3ラップをスポーツ・モードで走った。
ちなみに、1周目はスタビリティ・コントロールをオン。2周目は効きを弱め、3周目は完全にオフを試している。