【カギは航続距離より価格?】開発進む軽EV 「地方向き」といえるワケ
公開 : 2021.05.25 05:45 更新 : 2021.10.13 12:13
軽自動車にも電動化の波が押し寄せています。開発の進む軽EVは、大都市よりも地方に向いていると筆者は考察します。
軽自動車にも電動化の波が……
世界的にみても加速度的に進んでいる自動車の電動化。
ここでいう電動化というのは、エンジンとモーターを併用するハイブリッド車も含まれるのだが、やはり各メーカーとも純然たる電気自動車、つまりピュアEVの開発に力を入れているようにみえる。
日本では三菱が先陣を切ったアイ・ミーブから始まり、2世代目へとフルモデルチェンジを果たした日産リーフ、そしてホンダeにマツダMX-30 EVと続々とピュアEVがリリースされている。
電気自動車でリードする三菱と日産は、軽自動車に関わる合弁会社であるNMKV(Nissan Mitsubishi Kei Vehicle)を設立しており、2019年の東京モーターショーでは「IMkコンセプト」と名付けられた軽自動車クラス(コンセプトモデルは軽自動車枠をこえたボディサイズだった)のピュアEVが日産ブースで披露されていた。
このIMkコンセプトの市販車版ともいえる軽自動車のEVが日産、三菱両メーカーから2022年にも市場に投入されるという報道もあり、ホンダも今年の4月に新社長に就任した三部敏弘氏が2024年にも軽自動車のピュアEVを投入すると宣言し、にわかに軽自動車のピュアEVが注目を集めているのである。
過去には軽自動車のEVとして三菱アイ・ミーブが存在していたが(最終的に衝突安全の兼ね合いで普通車サイズになってしまったが)、大ヒット車種とはならなかった事実がある。
果たして今後登場が予定されている新型軽EVはどうなるのだろうか。
ネックは航続距離よりも価格?
電気自動車の話題になるとついてまわるのが航続距離の問題だ。
ガソリンスタンドで手早く給油ができる内燃機関を搭載したモデルに比べ、まだまだ充電設備が少なく、充電するために時間がかかってしまう電気自動車は、航続距離が長い方がいいと思われる節がある。
しかし、現段階では航続距離を伸ばす=大容量の駆動用バッテリーを搭載する、ということになってしまい、電気自動車が市販されたころに比べればバッテリーの価格が下がったとはいえ、大容量バッテリーの搭載は車両価格にそのまま反映されてしまう。
最近では乗り出し総額で200万円を超えるような軽自動車も珍しくなくなってきたとはいえ、そういった車種は電動スライドドアやアダプティブクルーズコントロールなどの普通車にも匹敵するような装備や、質感の高い内外装を持ち合わせたモデルであり、ボンネットバンに毛が生えたような装備では到底納得してもらえないだろう。
実際、軽のEVとしての先駆者であるアイ・ミーブも、補助金を加味した実質的な乗り出し価格は200万円台半ば~後半となっており、その価格に二の足を踏んでしまった人も少なくない。
逆にその金額の問題さえクリアしてしまったユーザーにとっては、アイ・ミーブは非常に満足のいく車両であるという声も多く、やはり最大のネックは車両本体価格ということになりそうだ。