【さまざまな思惑が絡む?】ランボルギーニに1兆円の買収案 スイスの投資会社 VWグループは売却拒否か

公開 : 2021.05.26 19:05

ランボルギーニに約1兆円の買収案が提示されました。その裏にはVWの元関係者の影も見え隠れしています。

背後でポルシェ関係者の関与も?

フォルクスワーゲン・グループは、アウトモビリ・ランボルギーニに対して75億ユーロ(約1兆円)のオファーを受けたことを、AUTOCARに明かした。

このオファーは、今月初めにフォルクスワーゲン・グループに送られた予備的合意書(LOI)により示されたもので、書類の中ではクァンタム・グループAGによるランボルギーニの買収条件が記されていたという。

1963年設立のアウトモビリ・ランボルギーニは、1999年からフォルクスワーゲン・グループ傘下にある。
1963年設立のアウトモビリ・ランボルギーニは、1999年からフォルクスワーゲン・グループ傘下にある。

スイスの持株会社であるクァンタム・グループAGは、ロンドンの投資会社セントリカス・アセット・マネジメントとコンソーシアムを組み、「Outlook 2030」という仮称の下で、「テクノロジーとライフスタイルの投資プラットフォーム」の構築を目指している。

クァンタム・グループAGは、ランボルギーニの買収提案において、2019年のジュネーブ・モーターショーで公開されたピエヒ・マークゼロGTを開発したチューリッヒのピエヒ・オートモーティブの共同設立者であるレア・スタークが代表を務めている。

なお、ピエヒ・オートモーティブの役員には、フォルクスワーゲン・グループの元会長フェルディナンド・ピエヒの息子であるアントン・ピエヒと、元ポルシェCEOであるマティアス・ミュラーが名を連ねる。しかし、彼らが今回の買収提案に関与しているかどうかは、現段階では不明だ。

アウディとのサプライヤー契約も

イタリアのサンターガタにある歴史的な製造拠点やモータースポーツ活動を含むランボルギーニの買収は、クァンタム・グループAGの投資対象として中心的な存在であるとされている。同社はデューデリジェンス(投資対象の価値やリスクを調査すること)を行うため、フォルクスワーゲン・グループとの協議を求めている。

フォルクスワーゲン・グループのヘルベルト・ディースCEOとアウディのマルクス・ドゥスマンCEOは、ランボルギーニに対する買収提案を認知していると言われている。買収提案の主要な要素をまとめた、いわゆる「ビジョンブック」を含む機密文書を英AUTOCAR編集部は入手している。

ランボルギーニ・ウラカン・エボ
ランボルギーニ・ウラカン・エボ

ランボルギーニは、フォルクスワーゲン・グループ傘下のアウディの支配下にある。フェルッチオ・ランボルギーニが1963年に設立したランボルギーニの現行モデルには、ウラカン、アヴェンタドールウルスなどがあるが、いずれもフォルクスワーゲン・グループの部品に大きく依存している。

クァンタム・グループAGが提示したビジョンでは、ランボルギーニブランドは「クリーンなドライブトレインの新技術を一貫して導入することで、イノベーションの先鋒となる」とされている。

58年の歴史を持つイタリアのスーパーカーメーカーであるランボルギーニの将来的な運営については、クァンタム・グループAGとフォルクスワーゲン・グループが戦略的パートナーシップを結ぶための条件が設定されている。その中には、「ワン・アームズ・レングス条項」と呼ばれるアウディとの5年間のサプライヤー契約も含まれている。

提案されたパートナーシップでは、知的財産とEV技術を共有し、ドイツのニーダーザクセン州にバッテリーセルとバッテリーパックの開発・生産を行う先進自動車イノベーションセンターを設立することが求められている。

クァンタム・グループが構想しているランボルギーニの開発センターでは、ソフトウェアや自動運転技術のほか、合成燃料(eフューエル)や水素を含むグリーン技術の開発も行われる。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事