【現時点の最後で最新】TVRサガリス 英国版中古車ガイド 411psのスピードシックス
公開 : 2021.06.09 08:25 更新 : 2021.07.12 18:45
復活計画は停滞中ですが、現時点でTVRの最後を飾ったサガリスは最高だったと評価する英国編集部。中古車との付き合い方を解説します。
もくじ
ーTVRの量産モデルとしては最強
ー70%位の領域までがとても楽しい
ーオーナーの意見を聞いてみる
ー不具合を起こしやすいポイント
ー知っておくべきこと
ー英国ではいくら払うべき?
ー英国で掘り出し物を発見
TVRの量産モデルとしては最強
英国のクルマ好きをもどかしい思いにさせる、TVRの復活戦略。現時点で最後のモデルとなっているサガリスを振り返れば、後継モデルのハードルの高さを理解できる。とても素晴らしい味わいのTVRだった。
TVRの再起は、簡単なことではない。次世代グリフィスのプロトタイプが販売されない限り、スピードシックス・エンジンを載せたサガリスは、最後で最新のロードゴーイングTVRであり続けることになるだろう。
そんな理由で、サガリスを手に入れようとすると、かなりの資金が必要になる。状態が良く、長めの走行距離を刻んだサガリスは稀。英国でも6万5000ポンド(975万円)前後は用意しておかないと難しい。
その価格に納得でき、同等の予算で購入できる新車のポルシェ718ケイマン GTSに食指が動かないのなら、サガリスはきっと素晴らしい体験を与えてくれる。
フロントに搭載するのは、4.0Lの自然吸気直列6気筒エンジン。最高出力411psで、TVRの量産モデルとしては最強のユニットだ。加えて車重は1tを少し超える程度。0-100km/h加速を3.8秒でこなし、最高速度は299km/hに達する。
この数字は現代でも明確に速いといえ、洗練性や安全性より興奮度と動的性能を優先させたような、英国のスポーツカーとしては珍しい存在でもある。スタイリングも相当にアグレッシブだ。
ドライバーへの訴求力にあふれる性格を生んでいるのが、軽量なボディの採用と、複雑な電子制御システムの不採用。しかし、限界領域での挙動は予想が難しい。必要以上の深追いはしない方が良い。
70%位の領域までがとても楽しい
サガリスは、70%位の領域までがとても楽しい。サーキットの走行会に申し込めば、並外れた動的性能の片鱗を模索することは可能だ。
新車当時の試乗レポートでは、その頃のTVRのオーナーを務めていたニコライ・スモレンスキーが主導した多くのアップデートを高く評価していた。「これまでで最も完成度の高い、最高のTVR」だとまとめている。
実際、サスペンションは引き締められ、安定した操舵性と、ロングレシオのトランスミッションを獲得していた。興味が湧いてきた読者もいるのではないだろうか。
もしガレージに収めたいのなら、早く行動に移した方が賢明。台数は多くはない。取引価格はここ数年で急激に上昇しており、今後も下がることはなさそうだ。
TVRサガリスが生産されたのは、2005年から2006年にかけて。約200台が販売されているが、現在も英国の公道を走っているのは100台程度だという。
筆者が記事をまとめている段階では、9万3300kmの走行距離で4オーナーのサガリスから、2万900kmで2オーナーという例まで、選択肢は複数見つかった。
実はサガリスには、2007年にアップデートの計画があった。AUTOCARではプロトタイプへの試乗もしているが、悲しいことに量産へこぎつけることは叶わなかった。
その2007年式サガリスのプロトタイプはナンバープレートを受け、TVRの最後に販売された。最近、10万ポンド(1500万円)の値段が付いているのを目撃している。