【二兎追うなら】アルピナB5リムジン・アルラット試乗 快適と刺激の完成形

公開 : 2021.06.07 05:45  更新 : 2021.10.09 22:28

新型アルピナB5リムジン・アルラットに試乗しました。快適と刺激の両方を兼ね備えたキャラクターが魅力です。

雨天で試乗新型B5 でも「安心感」

photo:Toshikazu Moriyama(森山俊一)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

昨年発表されたアルピナのニューB5をドライブすることができた。

正式名称はBMWアルピナB5リムジン・アルラット。これはG30/31型BMW5シリーズ・ベースのアルピナのフェイスリフト版という位置づけになる。

アルピナB5リムジン・アルラット
アルピナB5リムジン・アルラット    森山俊一

従来型の車名はB5ビターボだった。

つまり今回はビターボの文字が消えているのだが心配は無用。エンジンは4.4L V8ツインターボが踏襲されており、その最高出力は608psから621psまで引き上げられている。

駆動は従来型に引き続きアルラット=AWDで、330km/hの最高巡航速度も「必要にして充分」なので変わらない。

見た目の変化はベースモデルの変更にしたがって大型化されたキドニーグリルやヘッドランプが変更されている。

前後バンパーをはじめとするスタイリングが、Mスポーツに変更されている点も目新しい。

B5はツーリングのボディも用意され、ハンドル位置も選べるようになっている。

新型B5に試乗した日はあいにくの雨だったが、こういう時にアルラットは安心感が違う。

もしこれがFRで621psだったら、飛ばす気がなくても尻込みしてしまうはず。

近年、500psをこえるようなモデルは「特別な事情」がない限りAWDが当たり前になっている。

以前はAWDというだけでドライバビリティが削がれる印象があった。だがとくにアルピナのようなスポーツからラグジュアリーまで幅広く、しかも高いレベルでカバーするブランドには欠かせない技術に違いない。

これまでのB5とは違うハンドリング

バンパーがMスポーツベース、と聞いてから実車を見るとたしかに違う。

以前のフロントバンパーは水平基調のデザインだったが、今回はボンネットの両端のラインが、そのままバンパーの峰に繋がり、縦基調の分厚いイメージに変更されている。

アルピナB5リムジン・アルラット
アルピナB5リムジン・アルラット    森山俊一

試乗車のボディカラーはいつものアルピナブルーだが、この色には条件反射的に興奮してしまう癖がある。

G30/31ベースのアルピナのハンドリングは、これまでのイメージとは少し異なる。

走りはじめてすぐにわかる軽快さがあり、これはB5ビターボやディーゼルのD5 Sはもちろんだが、今回の新型B5にも踏襲されていた。

これまでのアルピナは直進している際にはタイヤがしっかりと全面接地しているような重厚感があり、ステアしはじめると抵抗感がキレイに立ち上がる性格。

ところがG30/31系の操舵感が直進旋回に関係なく軽い印象に終始する。これはG30/31系から採用がはじまったピレリ・タイヤの性格も関係しているように思う。

最初は一般道を走らせたのだが、雨にもかかわらず静粛性が高く、乗り心地に関しても段差を乗り越えない限りは30~35扁平の極太タイヤを履いていると思えない。

そしてこれはBMWのAWDシステムであるxドライブ搭載のセダンに共通する印象なのだが、前輪が掻いている感じがほとんどしない。

それでも気づくと自分の想像より2割以上スピードが出ていてドキッとさせられる。

やっぱりこれは、最新のアルピナなのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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