【都市型EVに特化】フィアット、EV専用ブランドへ 2030年までに移行実現 「地球のために行動起こす」
公開 : 2021.06.08 07:05 更新 : 2021.07.08 13:04
イタリアのフィアットは、2025年から2030年にかけてラインナップを全てEVとする計画を発表しました。
欧州でのICE禁止に同調
イタリアの自動車メーカーであるフィアットは、2030年までにEV(電気自動車)だけのブランドになることを目指し、2025年以降、世界のラインナップからすべての内燃機関搭載モデルを廃止すると発表した。
フィアットは先日、大人気のコンパクトカー500のEV専用モデルを発表した。このモデルは既存の内燃機関搭載モデルと並行して販売される。同社は、EVをより手軽なものとし、充電インフラの整備を含めて購入のハードルを下げ、大気環境の改善に貢献したいと述べている。
「2025年から2030年にかけて、当社の製品ラインナップは徐々にEVのみになっていきます。これはフィアットにとって大きな変化です」
「新型500をEVだけで発売するということは、実はパンデミックの前から決まっていました。その時から、わたし達は世界がこれ以上の妥協に耐えられないことを認識していました。地球のために何か行動を起こすことの緊急性を再認識したのです」
英国をはじめとする欧州各国では、2030年以降、非ゼロ・エミッション車の新車販売を事実上禁止するが、フィアットはそれまでにEV専用ブランドになることを目指している。内燃機関搭載モデルの販売が許可されている国でも同様だ。
グループ内での差別化にも
この動きは、500の人気に牽引されて、フィアットが都市型のコンパクトカーへの注力を強めていることと合致する。また、ヴォグゾールやシトロエンなど、ステランティス・グループの兄弟ブランドとの差別化にもつながる。
フィアットは、500以外のEVの導入計画について詳細を明らかにしていないが、販売が都市型コンパクトカーに限定されることはないとしている。
2019年、次世代のフィアット・パンダを事実上予告したチェントヴェンティ・コンセプトEVが登場した。このクルマは、新型500と同じ小型プラットフォームを使用する可能性が高いが、プジョーe208やヴォグゾール・コルサeが使用しているステランティスのSTLAプラットフォームでもEVを開発することになりそうだ。
また、アパートなどのように充電設備が整っていないエリアでの充電ステーションの利用を促進し、急速充電ポイントの数を増やす計画だという。
フィアットは、EV専用ブランドへの移行とともに、EV時代に向けて都市環境を見直す計画を発表した。このプロジェクトでは、トリノのリンゴット工場の屋根に2万8000本の植物を植え、大気質の改善を目指している。