【19インチに小さなウイング】ホンダ・シビック・タイプR スポーツラインへ英国試乗

公開 : 2021.06.20 08:25  更新 : 2024.07.23 11:03

英国編集部では極めての評価の高いシビック・タイプR。日常性を高めたスポーツラインは、魅力を一層深めているといえそうです。

大きなリアウイングが付かないタイプR

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
シビック・タイプRの見た目に問題でもあったのだろうか。ホンダは、手を加えるべきだと考えたようだ。それが、スポーツラインが英国へ投入された理由の1つになると思う。

現在手に入るCセグメントのホットハッチとして、最高傑作と呼べるシビック・タイプR。基本的にはアグレッシブさを和らげる、デザインや装備が与えられたタイプRだといっていい。

ホンダ・シビック・タイプR スポーツライン(英国仕様)
ホンダ・シビック・タイプR スポーツライン(英国仕様)

その美学に1番そぐわなかったのが、高くそびえるリアウイング。1.6km先からでもタイプRだとわかる存在感を放っていたが、小さな1枚モノに置き換えられた。

新しいウイングの下側には、効果的な気流を生み出すボルテックスジェネレーターの突起が並ぶ。ただ小さくなっただけではない。

ホイールも20インチから19インチへサイズダウン。それでも、メタルマトリックス・コンポジット材が用いられた350mmのブレーキディスクを組める余地はあるようだ。

19インチのホイールには、ミシュラン・パイロットスポーツ4Sが組まれる。ちなみに英国仕様の通常のタイプRにはコンチネンタル・スポーツコンタクト6が、リミテッドエディションにはミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2が組まれていた。

パイロットスポーツ4Sはサイドウォールがソフトでありつつ、高い精度とグリップ力を備えたタイヤ。筆者の経験では、公道用モデルのタイヤとしてベストに位置付けられる。

ブルドッグ級の威圧感は変わらない

ほかにも、通常のタイプRへあしらわれる赤いピンストライプがなくなり、形状は不変ながら、バケットシートのクロスが赤ではなくなった。軽量化のためにノーマルのシビックから外されていた防音材の一部が、スポーツラインへは取り付けられている。

今までのタイプRに防音材が追加されたとしても、車重は従来と同じ1380kg。トップクラスに軽い。

ホンダ・シビック・タイプR スポーツライン(英国仕様)
ホンダ・シビック・タイプR スポーツライン(英国仕様)

その仕上がりだが、見た目は読者の判断にお任せしよう。通常の10代目シビックですら、かなりパンチの効いた好戦的なデザインが与えられている。タイプRは更に熱い。

たとえ大きなリアウイングがなくなり、ダックテール風のものになっても、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIに紛れるような見た目には落ち着いていない。スポーツラインでも、ブルドッグ級に威圧感がある。

リアには3本出しのセンターマフラーが残されたままだし、後付け感丸出しのフェンダーアーチも変わらない。ボンネットにはエアスクープが開けられ、メッシュの張られたエアインテークも大きい。タイプRしている。

スポーツラインを選びたいと思わせる一番の違いは、19インチホイールの獲得によるノイズや振動といった快適面での向上。これまで筆者は通常のタイプRに何時間も乗ってきたが、ここまで静かでしなやかなクルマに仕上がるとは。

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