【スカイラインは存続も】あっても売れない国産セダン かつての「主役」なぜ危機?
公開 : 2021.06.23 12:00 更新 : 2021.10.22 10:07
スカイラインの開発中止は否定されましたが、国産セダンの危機に変わりはありません。今、セダンの価値を改めて考えます。
「スカイライン開発中止」公式に否定も……
「スカイラインの開発を中止」という報道が、2021年6月12日に流れた。
日産は即座に否定したが、スカイラインを始めとするセダンの売れ行きが下がっていることは事実だ。
1990年頃までのセダンは、乗用車販売の主役だったが、今は国内の新車販売台数に占める割合は7%程度だ。販売比率が最も高いのは38%を占める軽自動車で、次は25%のコンパクトカーになる。セダンは7%だから圧倒的に少ない。
スカイラインの販売面における最盛期は、意外に早く1973年に訪れた。
前年に発売された4代目(通称ケンメリ)スカイラインが、1年間で15万7598台登録されている。
セダン、2ドアハードトップ、ワゴン、バンなど複数のボディを用意した効果もあるが、1か月の平均が1万3133台だ。
当時のスカイラインは、今のノートやヤリス(SUVのヤリス・クロスを除く)などのコンパクトカーを上まわり、スペーシアと同等に売れていた。
しかも1973年当時の国内販売規模は、1年間に400万台少々だから、今よりも少なかった。
小さな市場規模の中で、スカイラインは1年間に15万台以上/1か月平均で1万3000台以上を売っていたから、物凄い人気車であった。
一方、2021年におけるスカイラインの登録台数は、1か月平均で約400台だ。今の売れ行きは、最盛期だった1973年の3%に過ぎない。
セダン販売1位のクラウンですら苦戦
セダンの売れ行きは、スカイラインに限らず伸び悩んでいる。
日本国内で最も多く売られているセダンは、今はクラウンだが、2021年の1か月平均は約2100台だ。
クラウンは、最盛期の1990年には、1年間に20万台以上/1か月平均でも約1万7000台を登録していた。この売れ行きは、現在の国内販売1位となるNボックスに迫る。
当時のクラウンは複数のボディを用意して、超絶的な売れ行きだった。
今のクラウンはセダンの最多販売車種でありながら、1990年に比べるとわずか12%だ。セダンの2位はカローラセダンだが、ワゴンのツーリングなどを除くと、2021年の1か月平均は1300台程度になる。
日産のセダンは、スカイラインが前述の約400台、フーガは60台、シーマは10台だ。シルフィは2020年に生産を終えて、今は少数の在庫を販売している。
ホンダはアコードが1か月に約270台で、レジェンドは30台前後だ。シビック・セダンは販売を終えた。
レジェンドも狭山工場の閉鎖に伴い、オデッセイやクラリティとあわせて販売を終えることが決まっている。
このほかマツダ3は設計が比較的新しいが、売れ筋はファストバックで、セダンの登録台数は1か月平均にすると約470台だ。
以上のように、セダンの売れ行きは全般的に低調だ。
三菱/スズキ/ダイハツは、少数のOEM車を除くとセダンを扱っていない。今のセダンは、販売面ではマイナーなカテゴリーになった。