【パーツは自分で作る時代】3Dプリンタが広げる自作パーツの世界 製作者に聞いてみた
公開 : 2021.06.26 05:45 更新 : 2021.10.13 12:12
欲しいパーツを自身で製作できれば、クルマに対する満足感も向上します。実際にパーツを製作している人物にも取材しました。
欲しいものがなければ自分で作る?
気に入って購入したクルマだからこそ、より自分好みの1台に仕上げたいというのはクルマ好きであればだれもが思い描くもの。
しかし、市販のパーツすべてが自分の求めるものであるという保証はないし、自分が求めるものが販売されていないというケースも珍しいことではない。
人気車種であれば、欲しいという人の声が多ければ新規でパーツが開発される可能性もあるが、そもそもニッチな車種やニッチなアイテムである場合は、どんなに優れたパーツであったとしても採算という面でメーカーが販売しない、という選択肢が採られる場合もあるだろう。
そんなとき、今までであればモヤモヤした気持ちを抱き続けながらも我慢するしか選択肢はなかったが、最近では安価な3Dプリンタや、3Dプリンタ出力サービスも充実してきて、思い描いたパーツを現実のものとするハードルが大きく下がってきている。
大量生産ができるわけではないため、それを販売して大きな利益を出そうと考える場合は不向きであるが、ニッチなアイテムを少量生産するにはまたとないチャンスともいえるだろう。
そこで今回は自らが欲しいと思ったパーツを自作している人に話をうかがい、どのようなパーツをどのような理由で製作しているのかを直撃してみた。
当然ながら専門技術も必要となるジャンルではあるが、何かの参考になれば幸いである。
趣味も兼ねたパーツづくり
今回、話をうかがったのは、埼玉県にお住まいの風間さん。もともと車載機器の設計が本職ということもあり、設計などをすること自体には馴染みがあったとのこと。
もちろん会社で自作パーツを出力することはできないが、家庭用の3Dプリンタの低価格化や、手ごろな3Dプリントサービスの存在を知ったことがきっかけで自分が欲しいと思うパーツを作るようになったそうだ。
ただ自宅で設計するにあたっては、仕事で使用しているのとは異なるCAD(いわゆるコンピュータを用いた製図システム)を使うことになったため、その点では学習が必要だったという苦労があったと話してくれた。
風間さんが最初に制作した自作パーツは、市販のドライブレコーダーを取り付けるためのステーだった。
商品に付属していたステーは吸盤でガラスに装着するタイプだったため、吸盤がヘタりしばしば外れるようになってしまった。そこで両面テープでしっかりと装着できるような土台に装着するためのステーを設計したのである。
本来であれば補修部品として吸盤ステーを再購入するか、本体ごと買い替えを検討する自体であるが、ステーを自作することで見事解決に導いたというワケだ。
これをきっかけに自らが欲しい、必要と思うパーツを大小さまざま設計し、一部は3Dプリントサービスで購入できるようにしている。