【なぜ?】米で売れない米国車セダン 売れる日本車セダン 「レンタカー」が明暗分ける
公開 : 2021.06.28 05:45 更新 : 2021.10.13 12:03
米国における米メーカーのセダン撤退が相次いでいます。一方で売れる日本車セダン。違いはどこにあるのか解説します。
米メーカーから消えるセダン
「儲からないからアメリカではセダンはもうやめる」
アメリカの大手自動車メーカーであるフォードがそう表明したのは2018年4月のことだ。あれから3年が経ち、どうなっているか。
公式ウェブサイトで車種ラインナップを見ると一目瞭然だが、それは有言実行に移されていた。
驚くことに、フォードがアメリカ市場において現在展開するセダンは「フュージョン」たった1台のみ。
「トーラス」も「フォーカス・セダン」もない。そしてそのフュージョンすら2021年モデルへ更新されていない。
つまりこのままドロップし、北米のフォードからセダンが消滅する可能性が高い。いくら北米でセダン離れが進んでいるとはいっても、こんな状況になってしまうとは。
実は、その流れはフォードだけに限らない。
GMのメインブランドといえるシボレーもたった1車種「マリブ」を残すだけ。GMの上級ブランドである「ビュイック」やフォードのプレミアムブランドである「リンカーン」に関してはセダンが消滅してしまった。
クライスラー系はクライスラーに「300」、ダッジに「チャージャー」があるものの、どちらも10年以上前のモデルを引っ張っている。
新しいセダンといえば、GMのプレミアムブランドであるキャデラックが「CT4」や「CT5」を導入しているくらいだ。
アメリカのメーカーからセダンが消えている。それは間違いない。
「レンタカー地獄」にはまった米セダン
なぜ、アメリカンブランドのセダンが壊滅状態となったのか。
ひとことでいえば、フォードが説明するようにセダンが儲からないジャンルとなったからだろう。
たしかに北米は、世界で最もといえる水準でセダン離れが顕著だ。しかしながら、「儲からない」は単に「売れていない」という単純な話だけではない。
プレミアムブランドを除く、アメリカンブランドの多くのセダンに共通する特徴といえばレンタカーとして導入されるケースが多いことである。
レンタカーは大量に納入されるので販売台数を稼げる一方で、まとめて納入することで値引きがおこなわれ、メーカーの利益を削ることになる。
それだけではない、レンタカーで使われた個体は「走行距離は多めだけど年式は古くない車両」として中古車市場に入り、それが「新車を買うよりも割安でお買い得」としてセダンを新車で買う人を減らしてしまう。
また、その結果として中古車相場、すなわち下取り価格を下げてしまうので新車は値引きを拡大しないと売れなくなり、それもまたメーカーの利益を下げてしまうのだ。レンタカーへの採用は悪循環の入り口なのである。