【全方位的な高い完成度】新型メルセデス・ベンツCクラス C 220dへ試乗 全グレードHV化 前編
公開 : 2021.06.28 08:25
すべてのグレードに電動化技術を採用し、刷新された5代目Cクラス。先代や宿敵の3シリーズを超える人気を得られるのか、英国編集部が評価しました。
モデルレンジ全体に電動化技術を採用
自動車ジャーナリストのグループを招いて、インメンディンゲンのテスト施設で5代目Cクラスの試乗会を開催したメルセデス・ベンツ。関係者は、かなり緊張した面持ちだった。
4代目の発表時も緊張していた。BMW 3シリーズのライバルとして長年競い合ってきたCクラスだから、それだけ期待も大きいというわけだ。
Cクラスの初代が登場したのは、1993年。2014年にモデルチェンジした先代の250万台を含めて、これまでに通算で860万台のCクラスが世界中で販売されてきた。ブランドの成長と収益を支えてきた立役者の1台といえる。
W206型を名乗る、最新の5代目が背負うものも大きい。ただし、従来のような成功を掴めるかどうかは不透明。Cクラス自体の仕上がりが弱いわけではなく、世界中の政府が電気自動車の普及に努めているからだ。
パダイムシフトと呼べる勢いで、内燃エンジンに対する圧力は高まる一方。Cクラスも4代目で大きな進歩を果たしていたが、5代目にはそれ以上が求められている。政府の関係機関を納得させ、環境保護団体の気持ちを逆なでしないように。
5代目Cクラスは、基本的には大成功といえた先代を継承する構成ではある。しかし要求へ応えるように、ほぼすべてのコンポーネントが改められ、訴求力を磨いてきた。その中心となるのが、モデルレンジ全体に採用された電動化技術だ。
EクラスやSクラスに共通するデザイン
さらにCクラスは、2022年に登場予定の2代目GLCのベースにもなるモデル。サルーンやステーションワゴンというバリエーション以上に、ブランド内の影響力を持っている。こちらのウエイトも大きい。
統一感あるモデルラインナップを構成する一環として、最新のEクラスやSクラスに共通するスタイリングが5代目にも与えられた。初代と同様に。フロントグリルやヘッドライト、パワードーム付きのボンネットなどを見れば良くわかる。
リアへ回ってみると、Sクラスのように横に長いテールライトが配され、トランクリッドまで伸びている。ワイド感を強調するデザインだといえる。空力特性にも優れ、Cd値は0.24に抑えられた。
一方でボンネットが長く、キャビンが車両中央寄りにレイアウトされるプロポーションは従来どおり。片側のサイドガラスが3枚構成の6ライト・ウインドウや、ボディサイドのシンプルな処理なども、Cクラスらしい仕上がりだと思う。
5代目はCクラスとして初めて、サルーンと同時にステーションワゴンも発売される。生産ラインの改善で、ステーションワゴンの納期も短くなったという。2023年まで待てば、2ドアクーペとカブリオレも追加になる。
ボディサイズは4代目からひと回り大きくなった。全長は65mm伸びて4751mmに、全幅は13mm広がり1820mmへ成長している。ルーフラインは低められ、全高は9mm減の1438mmとなった。
比較すると、CLAサルーンより63mm長く、10mm広く、1mm低い。BMW 3シリーズと比べると、42mm長く、7mm狭く、4mm低いという関係になる。