【ルールに縛られないサーキット専用車】アストン マーティン ヴァルキリーAMRプロ発表 最高出力1000ps以上
公開 : 2021.06.28 19:45 更新 : 2021.06.29 16:43
非ハイブリッドのV12エンジンから1000ps以上を発揮するという、ヴァルキリーのニューモデルが登場。
ノー・ルールのハイパーカー
アストン マーティンは、新型ハイパーカーのヴァルキリーに内燃機関のみのパワートレインを搭載し、ル・マンを3分20秒で周回するというサーキット専用バージョン、最高出力1000psの「AMRプロ」を発表した。
この新型車は、アストン、レッドブル・アドバンスト・テクノロジーズ、サプライヤーのマルチマティック社が開発した。ベースとなったのは、現在は中止されているヴァルキリーのル・マン・ハイパーカー・レーシング仕様の開発作業だ。2018年のジュネーブショーでコンセプトカーが公開された際、アストンはロードカーをサーキットに最適化したバージョンと説明していた。
ヴァルキリーAMRプロはそのコンセプトを発展させたもので、モータースポーツのレギュレーションを満たす必要がないため、さらに進化させることができたという。アストンは、このマシンの性能について、オリジナルのコンセプトを「はるかに超えている」としている。
アストンのトビアス・ムアースCEOは次のように述べている。
「ヴァルキリーAMRプロは、比較にならないほどのプロジェクトであり、本当の意味での 『ノー・ルール』のサーキット専用モデルです。純粋なパフォーマンスに対するアストン マーティンのコミットメントの証であり、このパフォーマンスのDNAは、今後の製品ポートフォリオにも明らかになるでしょう」
非電動の6.5L V12エンジン
レース・レギュレーションを満たす必要はないが、デザインをさらに突き詰めた結果、ホイールベースを380mm延長し、トレッドをフロントで96mm、リアで115mm拡大した。さらに、標準モデルの2倍以上のダウンフォースを得ることができるというエアロダイナミック・パッケージを採用し、全長が260mm伸びている。
このエアロパッケージは、アンダーボディとオーバーウィングの気流を利用してダウンフォースを発生させ、3G以上の横加速度を可能にしたという。
ヴァルキリーAMRプロには、標準モデルのコスワース製6.5L V12エンジンが搭載されているが、軽量化のためにハイブリッドシステムは取り除かれている。1万1000rpmまで回転するようにチューニングされており、アストンは、生産開始時には1000ps以上の出力が得られるようになると述べている。
また、このマシンは大幅な軽量化が施されている。ハイブリッドを廃止したほか、「超軽量」のカーボン製ボディワーク、カーボン製サスペンション、パースペックス製フロントガラスとサイドウィンドウなどを採用している。
ル・マン・サーキット(13.65km)でのラップタイムは3分20秒とされており、これは今年のル・マン耐久レースに参戦する新型LMHレーシングカーと同等の速さだ。
全車左ハンドルで40台が生産され、今年の第4四半期に納車を開始する予定。購入者は、特別なサーキット走行体験イベントに招待される。
このマシンの最終テストプログラムには、アストン マーティンの現役F1ドライバーであるランス・ストロールとセバスチャン・ベッテルが参加する予定だ。