【かつて存在】エアバッグの有効期限、今はどうなっている? メーカーの対応は
公開 : 2021.06.30 11:05 更新 : 2022.03.25 18:49
かつてはクルマのエアバッグに「有効期限」がありました。現在は? 交換が必要? 取材しました。
もくじ
ーエアバッグ登場十数年 急速に普及
ードア開口部に使用期限があるものも
ーエアバッグは10〜15年で交換すべし?
ー日本ではどのような対応だった?
ー耐用年数 過去には国会質問も
ー2015年12月以降 警告灯が点灯→NG
エアバッグ登場十数年 急速に普及
1980年代終わりころからメルセデス・ベンツをはじめ、一部の高級車で装備されるようになったエアバッグ。
当初の予想を超えて急速に普及が進み、90年代後半からは大衆車を含めた乗用車(運転席/助手席)にまで標準装備されるようになった。
現在は軽トラを含む軽自動車にも運転席/助手席エアバッグが多くの車両に備えられている。
今ではすっかり当たり前になったエアバッグだが、古いものでは30年以上経過したエアバッグ付き車両もある。
エアバッグは事故の衝撃で開くことがない限り自動車製造時の状態で装備されるわけだが、20年も30年も経過したエアバッグは衝突時にちゃんと開いてくれるのか? 有効期限や耐用年数などは存在するのだろうか?
ドア開口部に使用期限があるものも
筆者のクルマ(1997年型アルファ・ロメオ・スパイダー916型)には、エアバッグの有効期限が記されたラベルが、運転席のドア開口部に貼られている。
「エアバッグの交換時期」を知らせるそのラベルには英語やイタリア語で「製造から10年経過したららエアバッグ(ガスジェネレーター)を取り換えてください」と記されている。
1997年5月製造だからラベルには「2007」と「5」のところに穴が開いていて「2007年5月までの交換」が指示されている。
2006年頃ディーラーに「エアバッグ交換するんですか? ラベル貼ってありますけど」と尋ねた際には、「それはもう今はなくなりました。気にしなくていいですよ」といわれた記憶がある。
エアバッグは10〜15年で交換すべし?
調べてみたところ、1990年代~2000年初頭に製造された欧州車には同様のラベルが貼ってあるものが多くあったが2010年前後以降に製造されたクルマでは姿を消していた。
アメリカ車に関しても「2000年初頭から交換不要との認識。エアバッグユニットの寿命はクルマと同じかそれ以上に長い」というテスト結果が出ている。
また、メルセデス・ベンツが2002年9月4日に発行したサービスインフォメーションには
「1992年1月までに製造された『107、123、124、126、129、140、163、168、170、201、202、203、208、210、211、215、220、230、461、463』合計20車種のエアバッグ付きモデルについては、15年経過したらオーナーのコスト負担で交換する必要があります」
「ディーラーは顧客にエアバッグ交換の必要があることを知らせる必要がある」
「1992年2月以降製造の車両についてはエアバッグ交換の必要はない」
などと記されている。
メルセデス・ベンツオーナーが中心となって運営される海外のオーナー・フォーラムでは、実際に交換した人の話も出ていた。
「運転席側と助手席側それぞれ1740ドル+工賃でサイド・インパクト・エアバッグがある場合は各々314ドル+工賃。あまりにも高額で驚いた」
工賃別でなんと日本円で合計50万円以上。かなりの出費になる。
あまりにも高額になることから、「交換せずに売却した」オーナーもいたようだ。