【スポーティーさを高めたM】フェラーリ・ポルトフィーノMへ試乗 620psにレースモード
公開 : 2021.07.07 08:25 更新 : 2021.09.26 17:00
マラネロ製モデルで、最も近づきやすい1台がポルトフィーノ。アップデートを受けたグランドツアラーを、英国編集部が評価しました。
もくじ
ーMはモディフィカータの頭文字
ー最高出力は620psへ レースモードも追加
ーローマと共通する独特のフェラーリらしさ
ーカテゴリーで1番のスポーツ寄り
ーフェラーリ・ポルトフィーノM(欧州仕様)のスペック
Mはモディフィカータの頭文字
フェラーリがしばしば用いる、Mというアルファベット。改良を示すイタリア語、モディフィカータの頭文字だ。従来のモデルに比べて、大幅なアップデートが施されていることが多い。
そんなMが、フェラーリのエントリーモデルとなるポルトフィーノへ与えられた。フロントにV8エンジンが搭載された、リトラクタブル・ハードトップ・モデルだ。
アップデートを受けたといっても、ローマのような、フォトグラファーの手を焼かせるほど興奮するスタイリングを得たわけではない。しかしローマ風に内面を変更することは、狙っているのだろう。
フェラーリによれば、Mはよりスポーティーになったという。確かにパワーが増強され、見た目のダイナミックさも増した。新しいトランスミッションの獲得で、変速時間も短くなっている。
ドライブモードのセレクターには、1つ項目が追加されている。それに伴い、シャシーの制御ソフトも最新のものがインストールしてあるという。
フラットプレーン・クランクを備える3.9LのV8ツインターボエンジンは、排気ガス規制を満たすため、ガソリン微粒子フィルターが搭載された。排気効率が落ちるため、20psほどのロスが生まれてしまう。
ポルトフィーノはFRだから、効率を高めるためにフィルターはフロント側へ搭載される。またポルシェ911 GT3 RSの前例のように排気音が絞られるため、リア側のサイレンサーは不要になる。
最高出力は620psへ レースモードも追加
その結果、エグゾーストパイプはプロペラシャフトの両側を真っ直ぐ伸び、トランスアクスル・トランスミッションを緩やかに迂回し、後方へスムーズに導かれる。リアのディフューザーはかなりレーシーな造形になった。よく空気が流れそうだ。
エンジンは吸排気バルブのリフト量が約1mm増え、40psパワーアップ。先のフィルターによるロスが差し引かれ、最高出力は600psから620psへ引き上げられている。
トランスアクスルのデュアルクラッチATは、7速から8速へ1段プラス。7段目までは約4%ギア比が低められ、高い8速が加わったことで、クルージングの燃費を改善させている。リミテッドスリップ・デフは電子制御式となる。
ドライブモードは、ウェットにコンフォート、スポーツといった定番に加えて、レースが登場。さらにESCオフがある。レースモードと一緒に、先述のフェラーリ・ダイナミック・エンハンサーと呼ばれるソフトウェアも実装された。
このソフトの目的は、ポルトフィーノの限界領域付近での操縦性を引き上げること。サイドスリップ・コントロールに似た機能だと思うが、フェラーリだから、そんな呼び方は付けない。
インテリアを眺めると、まだ大径のアナログ・タコメーターがドライバー正面に鎮座している。最新のローマが採用するフルデジタルの環境も体験したが、筆者としてはポルトフィーノの方に好感が持てる。