【新型EVのイメージ公開】日産 英国にEVバッテリー工場新設 年間10万台分の供給確保
公開 : 2021.07.02 06:05 更新 : 2021.07.08 13:04
日産は英国政府や企業と連携し、現地に新たなバッテリー工場を建設します。新型クロスオーバーにも注目です。
EV生産ハブ「EV36Zero」
日産は7月1日、英国サンダーランドにおいて、10億ポンド(約1550億円)を投じてEV用バッテリーと新型EVを生産する計画「EV36Zero」を発表した。
EV36Zeroは日産のほか、バッテリー生産パートナーのエンビジョンAESCと、サンダーランド市議会が共同で出資する新しい取り組みだ。同プロジェクトは、「EV、再生可能エネルギー、バッテリー生産を統合し、自動車産業の未来の青写真を描く」ものだという。
EV36Zeroでは、日産で900人、エンビジョンで750人が新たに雇用され、合計6200人の雇用を創出する。今回の発表は、1986年7月に生産を開始したサンダーランド工場の35周年に合わせたものだ。
日産は先日、エンビジョンが運営するサンダーランドのバッテリー生産施設を拡張し、ブレグジット後の貿易ルールに沿って、英国製リーフ用のバッテリーを供給する計画を発表した。これにより、すべての日産のEVにバッテリーが供給する新工場が完成し、日産は「世界初のEV製造エコシステム」の構築を目指す。
新しいバッテリー専用工場は、既存施設の容量1.9GWhをはるかに上回り、最終的にはネバダ州にあるテスラのギガファクトリーに匹敵する35GWhの生産能力を持つことになる。
エンビジョンは、当初4億5000万ポンド(697億円)を投資し、9GWhで操業を開始する。2030年までに25GWh、10年後にはフル稼働する予定で、最終的な投資額は18億ポンド(2790億円)になるという。日産は、年間最大10万台のEVにバッテリーが供給されるとしている。
エンビジョンは、2012年からリーフとe-NV200用のバッテリーを英国で生産してきたが、エネルギー密度を30%向上させて航続距離と効率を改善する新技術を採用することで、「英国で生産されるEV用バッテリーのコスト競争力を高める」ことを目指す。
英国で生産することによりバッテリーの価格が下がり、その結果、「将来的にはより多くのユーザーがEVを利用できるようになる」と日産は述べている。
新型EVはアリアよりも小型?
英BBCによると、英国政府の投資額は「数千万ポンド」と推定されているが、正確な数字は公表されていない。
サンダーランド市議会は、「100%再生可能」な電力を生み出し、年間5万5000トンの二酸化炭素を削減できると言われている「マイクログリッド」の開発にも関与する。
約8000万ポンド(124億円)の価値があると言われているこのマイクログリッド計画では、サンダーランドの敷地内にすでに設置されている再生可能エネルギーをベースに、最大10か所の太陽光発電所を新設する。
また、日産の2次バッテリーを利用した1MWの蓄電設備を設置し、余剰電力を蓄えて必要に応じて利用することで、送電網の需要バランスをとることができる。
一方、「新たな時代にふさわしいスタイリングと効率性、バッテリー技術を備え、EVへの乗り換えを促進する」という日産の新型電動クロスオーバーの生産には、約4億2300万ポンド(655億円)が充てられる予定だ。
新型車の位置づけについてはまだ明らかにされていないが、イメージ画像によると、アリアよりも一回り小さく、クーペスタイルのシルエットを採用しているようだ。
また、アリアや新型ルノー・メガーヌEテックに採用されているアライアンスCMF-EVプラットフォームを採用する。生産開始時期は明らかではないが、現行のリーフは2024年頃に生産を終了する見込みであり、新型車がリーフの後継モデルになる可能性がある。
サンダーランド工場では、欧州市場向けに新型車を生産し(年間10万台を生産可能)、909名の新規雇用を創出する。日産は、その他の生産拠点や価格、発売日などの詳細については、販売開始に向け順次発表していく予定としている。