【交通革命?】電動キックボード ロンドンで試乗してみた結果 本当に便利な乗り物なのか

公開 : 2021.07.04 06:05

英国で電動キックボードのレンタルが可能になりました。早速、大都市ロンドンの渋滞や坂道を体験してみました。

環境に優しく渋滞解消はホント?

text:AUTOCAR UK(Move Electric)
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

どう考えても、電動キックボード(eスクーター)は矛盾している。基本的には子どもの乗り物だが、パワーを上げれば驚異的なスピードを出すことができる。脆弱だが危険、静かだが致命的、一部の人には愛されるが多くの人には嘲笑される。

英国では、違法でありながら好ましいという二面性を持っている。個人所有の電動キックボードを公共の場に持ち出すことはできないが、政府の試験運用により、英国内の約30の地域で、社会的にバランスのとれた交通手段としてキックボードをレンタルすることができるようになった。

今回試乗したDott社の電動キックボード
今回試乗したDott社の電動キックボード

ロンドン交通局が許可したメーカーは、Lime、Tier、Dottの3社。この3社の中では、Limeが一番のヒット商品を生み出している。Limeは、自転車のレンタルで創業し、電動バイクに移行した米サンフランシスコの会社で、現在はロンドン、ニューヨーク、パリなど世界の130都市で事業を展開している。

ベルリンに拠点を置くTierは、パリをはじめとする100都市で事業を展開しているが、Limeとは逆の道を歩んでいる。Dottは、自転車シェアリング会社Ofo出身の2人がアムステルダムで設立した会社で、3社の中では最も規模が小さく、キックボードのみで20都市をカバーしている。

6月の時点で、ロンドンの行政区でこのトライアルに参加しているのは、5つ(イーリング、ハマースミス・アンド・フラム、ケンジントン・アンド・チェルシー、リッチモンド)だけだ。7月にはシティ・オブ・ロンドン、ランベス、サザーク、ウェストミンスターが参加する予定。

電動キックボードの借り方

18歳以上でスマートフォンを持っている人。そして英国では自動車に分類されるため、運転免許証が必要だ。

まず、上記3社のアプリをダウンロードし、免許証、銀行情報、本人確認用の写真をアップロードする。認証されると、ルールや安全に関する簡単なトレーニングが始まる。

メーター部分のアップ。作りはシンプルで、右の「Go」ボタンがスロットルだ。
メーター部分のアップ。作りはシンプルで、右の「Go」ボタンがスロットルだ。

1つの事業者にこだわるのもいいが、その事業者のキックボードがすべて借りられていたり、必要なときにアプリが動作しなかったりすると、ロンドンの街中で泣きを見ることになる。

実際、記者が試乗した日には、記者と忠実なカメラマンであるスティーブがアプリの信頼性の低さに悩まされた。記者は3社のアプリをダウンロードしていたが、当日はTierもLimeも動作しなかった。

それは記者個人が無能だったからかもしれないが、スティーブも同様にアプリを起動できなかったので、消去法でDottが選ばれた。

QRコードをスキャンして、ビープ音を聞けば、キックボードは準備完了。3社のキックボードはそれぞれ微妙な違いがあるが、英国の法律では前後のライト点灯が義務付けられている。

クロスバーには、インジケーター(ウィンカー)ボタン、明るい日には見えにくいスピードメーター、そしてマシン好きの人にはおなじみの「Go」ボタンなどがある。スロットルは、バイクのようなツイスト式ではなく、このGoボタンを押し続けなければならないのが特徴だ。

携帯電話をホルダーに差し込み、車体をひと押しすれば、道路に出ることができる。思ったほど軽くはないので、下り傾斜を上手く使うと発進しやすいだろう。

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