【ねらいは?】日産ノート・オーラ ノートがあるのに後出し発売したワケ
公開 : 2021.07.10 05:45 更新 : 2021.10.22 10:07
話題の日産ノート・オーラ。ノートがあるのに後から「別モデル」として発売したワケを解説します。
ノート・オーラ なぜ後から出した?
2021年6月15日、日産はノート・オーラを発表した。
2020年11月に現行ノートを発表して(納車を伴う発売は12月)、半年後には早くも上級モデルを加えた。
ノートX(価格は218万6800円)に、プロパイロットを含めたセットオプション(42万200円)、LEDヘッドランプ(9万9000円)を加えると270万円を超えてしまう。
ノート・オーラG(261万300円)の価格に近付く。
そうなるとノートを既に購入したユーザーの中には「ノート・オーラが登場するなら、ノートを発売した時に知りたかった。そうすればノート・オーラを待ったのに……」という人もいるだろう。
なぜこのような売り方をするのか。
開発者に尋ねると、以下のように返答された。
「ノートとノート・オーラは、別のクルマだと考えている。(別車種の)エクストレイルがフルモデルチェンジするのと同じようなことだから、ノートの発売時点でノート・オーラの話はしなかった」
ノート・オーラのフロントマスクは、ノートと少し異なり、前後のフェンダーと後席側のドアパネルも変更されている。
そのために全幅も40mm広がって1735mmになり、3ナンバー車としたが、車両全体を見ればノートだと分かる。
車名にも「ノート」が入るので、上級モデルと考えるのが妥当だろう。
日産の思想 あくまで上級モデルではなく……
ノート・オーラは、客観的にはノートの上級車種だが、前述の通り日産は「別のクルマ」としている。その意図は販売計画台数を見ると分かる。
ノート・オーラの販売計画は、1年間に5万1000台とされ、1か月平均なら4250台に達する。
ノートの販売目標は1か月当たり8000台だから「ノート+ノート・オーラ」のシリーズ全体では、1か月に1万2250台の登録を見込む。
このうちの35%をノート・オーラが占めるわけだ。
販売規模の大きさを考えると、ノート・オーラは、ノートから独立した「別のクルマ」といえるかも知れない。
ノート・オーラを大量に売りたい背景には、現行ノートが先代型に設定していたノーマルエンジンを廃止して、ハイブリッドのeパワーのみにしたことも挙げられる。
ノーマルエンジンを廃止した理由を開発者に尋ねると「先代ノートでは、eパワーが売れ筋で、ノート全体の約70%を占めた。そこで現行型はeパワーに絞ってノーマルエンジンを廃止した」という。
ただし逆の見方をすれば、ノーマルエンジンが約30%を占めていた。
これが欠落すると販売面のマイナスも大きい。
2021年1~5月におけるノートの登録台数は、1か月平均で7961台だから、発売直後なのに目標の8000台に届いていない。
今は半導体の不足で生産が滞り、差し引いて考える必要はあるが、コンパクトカーの新型車としては登録台数が物足りない。
また前年(2020年)の1~5月におけるノートの登録台数は、1か月平均で7139台であった。
2021年1~5月は7961台だから、コロナ禍とフルモデルチェンジの直前で苦戦を強いられていた前年と比べても、現行型の登録台数は伸び悩む。そこをノート・オーラの追加で補うわけだ。