【ID.ブランドのGTI】フォルクスワーゲンID.4 GTXへ試乗 四駆の299ps 1.4tまで牽引可

公開 : 2021.07.12 08:25  更新 : 2022.10.05 11:45

VWの純EVでガソリンモデルのGTIに相当するのが、GTX。ツインモーターの299psで四輪駆動に仕立てられたID.4を、英国編集部が評価しました。

ツインモーターの四輪駆動で299ps

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
英国ではいよいよ、純EVクロスオーバーのID.4の納車がスタートした。このタイミングに合わせるかのように、高性能版のGTXが追加となっている。

初代ゴルフGTIが登場したのは1976年。フォルクスワーゲンはその頃のように、新しい純EVへも余裕のダッシュ力とドライバーへの訴求力を与えたいと考えたのだ。

フォルクスワーゲンID.4 GTX(欧州仕様)
フォルクスワーゲンID.4 GTX(欧州仕様)

従来のガソリンモデルと同じく、純EVのドライバーにも、周囲のクルマとは違うことを主張したい層が存在する。一味違うゴルフのリアハッチを飾ったのは、GTIの3文字。ID.4の後ろには、GTXの3文字があしらわれている。

もちろん、単にGTXのエンブレムを貼っただけではない。フォルクスワーゲンとして2番目のID.モデルには、ドライブトレインに至るまでディープな変更が加えられている。

通常のID.4は、リアに駆動用モーターを1基搭載した後輪駆動。だがGTXでは前後にモーターが積まれ、四輪駆動になる。このレイアウトは、兄弟モデルのアウディQ4 eトロンと共通のものでもある。

GTXのフロントに追加された非同期モーターは、108psと16.5kg-mを発生。リアの同期モニターは、ID.4 プロ・パフォーマンスと同じ203psと31.4kg-mを生み出す。システム総合としては、最高出力299ps、最大トルク48.0kg-mに設定される。

最大のパワーは、加熱を防ぎ充電量が過度に減らないよう、30秒間のみ連続して発揮できる。各モーターの回転は、シングルスピードのトランスミッションを介して、タイヤへと伝えられる。

最高速度は180km/h、航続距離は479km

48.0kg-mという豊かなトルクだから、ID.4 GTXの発進は力強い。秀でたトラクションと電気モーターの特性を活かし、スマートに速度を載せていく。間違いなく通常のID.4よりも速い。

0-100km/hの加速時間は6.2秒がうたわれる。後輪駆動の高性能版、ID.4 プロ・パフォーマンスより、2.3秒も短縮している。

フォルクスワーゲンID.4 GTX(欧州仕様)
フォルクスワーゲンID.4 GTX(欧州仕様)

純EVらしく走行中は静かで、パワートレインはスムーズ。追加されたパフォーマンスを引き立てるかのうように。力強い加速を求めると、2基のモーターからは高音の唸りが聞こえてくるが、パワーデリバリーは常にシルクのようにスムーズだ。

とはいえ、2149kgに達する車重は隠しきれない。そのまま加速していくと、空気抵抗と転がり抵抗も増していく。高速道路の速度域に到達すると、加速感は明確に鈍ってくる。最高速度は180km/h。通常のID.4より19km/h高い。

DとBの2段階の主要ドライブモードも、標準モデルと同じ。Dは回生ブレーキの効きが最小限になり、驚くほど長い惰性走行を許してくれる。Bは可能な限り回生ブレーキの効きが強くなり、アクセルペダルを放した時の減速も強くなる。

この2種類の回生ブレーキのモードに加えて、さらに5つのドライブモードも用意されている。フォルクスワーゲンによれば、1kWhで走れる距離は約6.1kmだとしている。GTXには77kWhのバッテリーが搭載され、航続距離は479kmになるという。

サスペンションもチューニングを受けている。専用のレートが与えられたスプリングとダンパーが装備され、車高は15mm低い。

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