【6.5L NA V12から830ps】ランボルギーニ・エッセンツァSCV12へ試乗 40台限定
公開 : 2021.07.14 08:25
ランボ製NA V12エンジンのフィナーレを飾る、サーキット専用のエッセンツァSCV12。ウラカンGT3を上回る高性能モデルを、英国編集部が評価しました。
もくじ
ー最後の自然吸気V型12気筒のランボ
ーウラカン・スーパートロフェオに近い体験
ー回転数に合わせて線形的に増大するパワー
ー横方向の強い力で首の筋肉が疲れる
ーモデルツリーの頂点に飾られる
ーランボルギーニ・エッセンツァSCV12のスペック
最後の自然吸気V型12気筒のランボ
ランボルギーニの創業以来、象徴となってきた自然吸気V型12気筒エンジン。アヴェンタドールの後継モデルにもV型12気筒が載ることはアナウンスされているものの、ハイブリッド化されることは間違いないようだ。
今回ご紹介するエッセンツァSCV12は、純粋なNA V12エンジンを搭載する、最後のランボルギーニとなる見込み。それを記念すべく、過去最もパワフルに仕立ててある。V12が、そっと幕を閉じることはなかった。
AUTOCARの読者ならご存知かもしれないが、エッセンツァSCV12はサーキット専用モデル。目もくらむような、190万ポンド(2億9260万円)という英国価格が付いている。
ロールゲージを追加することなく、FIAが定めるハイパーカーレース・クラスの安全基準を達成する、カーボンファイバー製のタブシャシーを備えている。単なるアヴェンタドールの焼き直しと、勘違いしないで欲しい。
エンジンの搭載位置も、アヴェンタドールよりフロント側へ少し移動。エクストラック社製となる、6速シーケンシャル・トランスミッションが組み合わされ、後輪を駆動する。トランスミッションは、剛性を受け持つ構造だという。
最高出力は触媒なしで830ps。最大トルクは77.2kg-mを発生する。ランボルギーニによれば、最も軽量な仕様での乾燥重量は1470kgとのこと。エンジンオイルなどが注がれず、オプションのエアコンも付いていない時の重さだ。
ウラカン・スーパートロフェオに近い体験
サーキット専用とはいえ、エッセンツァはレーシングマシンではない。しかし、ドライビング体験はかなり近い。
今回の試乗ではイタリアのヴァッレルンガ・サーキットを、先にワンメイク・チャンピオンシップ仕様のウラカン・スーパートロフェオ・エボ2で走らせてくれた。実際にその印象と比べているから、間違いない。しかも少し速い。
内蔵のエアジャッキで浮かされ、メカニックが忙しそうに仕事をしている横で、エッセンツァSCV12に乗り込む。ランボルギーニは、オーナーがサーキットを走らせる場合、3・4名のメカニックが同行する必要があると考えているようだ。
コクピットの仕上げは、レースカーのものより遥かに美しい。ロールケージがないから、空間も広々としている。シートに身体が固定された状態での前方視界は、巨大なフロントピラーによって切り取られている。
リアカメラも搭載されるらしい。だが、プロトタイプの試乗車では機能していなかった。ウイングを最もダウンフォースが生まれる設定にすると、249km/hで最大1200kgの力を生じるという。
主要な操作系は、レーシングマシンそのものといった形状の、ステアリングホイールに統合されている。中央にモニターがレイアウトされ、情報が映し出される。
ロータリースイッチで、パワーステアリングのアシスト量からディファレンシャルのプリロード量まで、各機能の調整が可能。ウラカン・スーパートロフェオと同様に、ABSとトラクション・コントロールの効き具合も変更できる。