【カワイイだけじゃない】シトロエンC3 エアクロス・ピュアテック110へ試乗 小変更

公開 : 2021.07.21 08:25  更新 : 2022.02.24 19:12

混戦模様の小型クロスオーバーで、独自の個性を光らせるシトロエンC3。優れたデザインと実用性の高い車内を、英国編集部は評価します。

重要なモデルとしてフェイスリフト

text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
どんなモデルでも、さらされている競争は楽なものではない。それでも、シトロエンC3 エアクロスほど厳しい戦いに巻き込まれれているモデルは、多くないだろう。

欧州でも、人気が高まる一方のクロスオーバー。その中で、メジャーとはいえない存在だからだ。

シトロエンC3 エアクロス・ピュアテック110(欧州仕様)
シトロエンC3 エアクロス・ピュアテック110(欧州仕様)

ボディサイズはフォード・プーマや日産ジュークなど、売れ筋モデルとほぼ同等。しかし、なかなかライバル視されることはない。モデル自体も、万能的な利便性や動的性能ではなく、パーソナライズやブランドらしい個性に重きが置かれている。

それでもC3 エアクロスは、シトロエンにとって重要な1台。C5 エアクロスとハッチバックのC3に次ぐ主力モデルで、2021年度版としてフェイスリフトを受けた。スタイリングへ手が入り、オプション・リストも見直されている。

シトロエンによれば、C3 エアクロスで選べるボディ色の組み合わせは70通り以上。新しいアドバンスド・コンフォートシートやLEDヘッドライトが標準採用となったほか、インフォテインメント・システムもアップデートされた。

フェイスリフト後のC3 エアクロスを見極めるわかりやすい特徴が、少し角張った、堀の深いデザインが与えられたフロント周り。バンパー下部には新形状のスキッドプレートが付いた。新しいアルミホイールも、シャープな印象を強めている。

インテリアでは、ハンドブレーキ・レバーがスリムになっている。小物入れの数も増やされたという。

軽快で経済性に優れる1.2L 3気筒

英国にはディーゼルエンジンも導入されるが、見込まれる購入の96%を占めるのがピュアテックと呼ばれるガソリンエンジン。特徴的なビートを聞かせる1.2Lの3気筒ターボで、最高出力は109psを発揮する。トランスミッションは6速MTが組まれる。

実際に走り始めてみると、驚くほどのペースでスピードを載せていく。フォードのエコブーストやフォルクスワーゲンのTSIほどたくましく柔軟というわけではないものの、軽快に発進できる。高回転域まで回しても、息苦しさも感じられない。

シトロエンC3 エアクロス・ピュアテック110(欧州仕様)
シトロエンC3 エアクロス・ピュアテック110(欧州仕様)

かといって、アクセルペダルを積極的に操作したくなるエンジンではない。そのかわり、余り気を使わず運転しても優れた燃費を得られる。カタログには。16.6km/Lという値が載っている。

やや経済性で劣る130ps版も用意されるが、さほど印象が良くない6速ATが必然的に組み合わされる。四角いシフトノブが少し握りにくいとしても、機械的なタッチが好ましい6速MTを選べる109ps版を筆者は選びたい。

C3 エアクロスのコーナリングは、クロスオーバーとしても機敏とはいえない。フォード・プーマなど、快活に身をこなすクラスリーダーに動的性能では及ばない。ボディロールが大きく、S字カーブのように左右へ連続する区間では少々不快さも感じてしまう。

それでいて、ボディをうねらせる柔らかい足まわりは、クッションの効いた乗り心地にもつながっていない。舗装の剥がれた穴や橋桁の継ぎ目を通過すると、シートやステアリングコラムを通じて、振動が届いてしまう。

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