【英国メーカーの戦い方】ケータハム 元日産の幹部が語る、ブランドの未来 EVセブン
公開 : 2021.07.14 06:05
ケータハムの戦略責任者ボブ・レイシュリーにインタビュー。ブランドを維持・発展させていく方法を聞きました。
GT-RやZの開発に携わった人物
日本のVTホールディングスの傘下に入り、数年後にセブンの完全EVの発売を予定しているケータハムにとって、今年は非常に重要な年である。
英国のスポーツカーブランドであるケータハムは、ボブ・レイシュリーを新しい最高戦略責任者に任命した。レイシュリーは、新製品の展開を管理し、自動車業界が変革を続ける中で会社を繁栄させ、コンプライアンスを維持するために尽力することになる。
自称「カー・ガイ(クルマ好き)」のレイシュリーは、日産自動車でグローバル・スポーツカー・プログラムの責任者として、370ZやGT-Rなどの大ヒットモデルを担当したことで知られている。
ケータハムが2023年に創業半世紀を無事に迎えるためには何をすべきか、レイシュリーは英AUTOCAR編集部のインタビューに応え、当面の優先事項について語ってくれた。
軽量スポーツカーの伝統を守る
――就任してからの数週間はいかがでしたか?
「まだまだ序盤戦ですね。まず最初に言えるのは、ダートフォード(拠点)のスタッフは素晴らしい仕事をしているということです。ビジネスには何の問題もなく、製品も素晴らしいものです。今はただ、テーブルの下に足を入れ、多くのことを学んでいるところです」
「もちろん、外から見たケータハムのことはよく知っていましたが、中に入ると少し違います。わたしはケータハムの50年以上の歴史と同化しようとしていますが、エレクトリック・セブンにはあの『生のドライビング・エクスペリエンス』があります」
ボブ・レイシュリーは、日産のパフォーマンス部門を経て、ケータハムの戦略部門の責任者に就任した。彼はケータハムの伝統を守ると期待されている。
「率直に言って、業界の多くの人たちの反応には本当に満足していますし、驚いています。自動車業界の偉い人たちは、いまだにセブンがすべての基準だと言っています。本当に謙虚な気持ちになりますし、このグループに加わることの責任を感じています」
「わたしはちょうど1年前に日産を退職し、コンサルティングを行う予定でしたが、新しいオーナーがわたしをこの役割に戻してくれました」
ケータハムが守るべきもの
――大きなブランドから小さなブランドへと移行する際の課題は何ですか?
「驚くべきことに、直面している問題の多くはOEMと変わりません。規模が違うだけです。お客様を惹きつけてやまない商品企画や、車両の規格適合性の維持など、すべてが同じ問題です。非常に大きな共通点があることには驚かされました」
「この新しい世界に移行して良かったことの1つは、グローバルOEMのように大きくて動きの鈍い巨大企業と比較して、非常に迅速に意思決定を行うことができる機敏さです。これはとても新鮮なことです」
――ケータハムが守るべきものとは?
「ケータハムの特徴は、軽量、敏捷性、運転の楽しさであり、それらすべてを維持する必要があります。これまでのオーナーは、セブンやブランドの形やフォーマットを変えようとしてきましたが、さまざまな理由でうまくいきませんでした。ですから、ある程度の安定性を保つことには意味があるのです」
「彼らがやっていることに大きな問題はありません。ここ数年の彼らの堅実な活動をさらに発展させていく必要があります。最初の課題は、お客様をお待たせする時間を短縮することです」
「今は生産能力の関係でリードタイムが長いので、そのリードタイムをいかに改善するか、そして今ある受注を満たすために生産量を増やすか、ということに取り組んでいます」