【シャープな姿に快適な乗り心地】ヒュンダイ・アイオニック5 アルティメットへ試乗

公開 : 2021.07.31 08:25  更新 : 2022.02.07 12:19

ヒュンダイ渾身の純EV、アイオニック5が英国へ上陸。431kmの航続距離とVW ID.4などの競合に並ぶ価格が与えられています。英国編集部が評価しました。

新プラットフォームに載る大胆なボディ

text:Illya Verpraet(イリヤ・バプラート)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
スケートボード構造と表現される、バッテリーがフロアに敷き詰められた純EVプラットフォーム。フロントに金属の塊を載せる必要がなくなるため、従来の制約から開放される。従来のクルマとは異なるデザインも可能になる。

とはいえ、最新のヒュンダイ製プラットフォームへ載せるボディを創造した人物は、クラシカルなカタチがお好みだったのかもしれない。例えばランチア・デルタなど。ヒュンダイから、デルタ風ボディの純EVが登場するとは、想像もしなかった。

ヒュンダイ・アイオニック5 アルティメット73kWh AWD(欧州仕様)
ヒュンダイ・アイオニック5 アルティメット73kWh AWD(欧州仕様)

アイオニック5のデザインに、オリジナリティがないというわけではない。方眼紙に書いたようなグラフィックのライトに、直線的なラインが交差するボディ面。BMW Z4の大胆さを、かすめさせるほどだ。

メカニズムとしては、徹底的に設計が煮詰められている。電費効率を高め、既存モデルのコナ・エレクトリック以上の航続距離を実現させている。

ヒュンダイがエレクトリック・グローバル・モジュラー(E-GM)プラットフォームと呼ぶ基礎骨格は、純EV専用のもの。大きなバッテリーパックを床下に敷き詰め、駆動用モーターを車両後方に搭載し、高い実用性を可能としている。

E-GMプラットフォームを採用したモデルは、アイオニック5が初めて。姉妹モデルとして、キアからはEV6が登場予定となっている。また、高性能版のアイオニック6と大きなアイオニック7も、その後に控えていると考えて良い。

ツインモーターで総合304psの四輪駆動

純EVシステムは電圧800Vのもので、ポルシェタイカンが採用する電圧と同じ。最大350kWhの急速充電器に対応し、最短18分で80%の電気を蓄えることができる。

ただし、テスラが英国で展開するスーパーチャージャー・ネットワークには非対応。短時間でこなせる高速充電器を発見することは、英国では少し難しい。

ヒュンダイ・アイオニック5 アルティメット73kWh AWD(欧州仕様)
ヒュンダイ・アイオニック5 アルティメット73kWh AWD(欧州仕様)

アイオニック5が搭載する駆動用バッテリーとモーターは、58kWhと168psという組み合わせがエントリースペック。今回の試乗車の場合は73kWhのバッテリーと217psのリア・モーターを搭載し、フロント用モーターが追加され、合計で304psを発揮する。

ヒュンダイによれば、58kWhのエントリーグレードで航続距離は386km。試乗車なら、431kmを走れると主張する。

英国での価格は、3万6995ポンド(569万円)から4万8145ポンド(741万円)に設定された。フォードマスタング・マッハEやフォルクスワーゲンID.4といったライバルと、ガチンコ勝負になる。

アイオニック5は、一見すると小さなハッチバックに見えるが、実は比較的大きい。全長4635mm、全幅1890mm、全高1605mmもあり、ミドルクラスのSUVと同等。ホイールサイズも20インチと大きく、タイヤは扁平率45と肉厚だ。

ドアを開いて車内に入ると、外観とはまた違った感覚を受ける。ステアリングホイールの位置はやや遠く、腕を伸ばす格好になり、座面の位置は思った以上に高い。

車内は開放感が強く、視認性も良好。白を基調にコーディーネートされたパネル類の効果も大きいだろう。

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