【実力で戦える仕上がり】ヒュンダイi20 Nへ試乗 203psの1.6Lターボ 純粋ホットハッチ
公開 : 2021.07.27 08:25
荒波を順調に乗り越えようとしている韓国ヒュンダイ。最小ホットハッチも好調を後押しできる1台といえるのか、英国編集部が評価しました。
4気筒ターボのFFに、6速MTとLSD
ヒュンダイは進化に忙しい。新しい電気自動車は高い評価を獲得している。そのシステムは、スポーツカーに採用されるような電圧800Vの高性能なものだ。
チョン・ウィソンCEOが、AUTOCARアワード2021の1つを受賞したことを、ご存知の読者もいるだろう。ヒュンダイは調子が良い。
今回試乗するのは、i20 N。ヒュンダイが展開するパフォーマンス・モデル、Nが与えられる2番目のモデルとなる。最初に登場したのは、ひと回り大きいi30 Nだった。
英国での価格は、2万4995ポンド(384万円)から。レシピは、小さな4気筒ターボエンジンに前輪駆動という、ホットハッチとして典型的なもの。加えて、6速MTが用意されていることには拍手を贈りたい。
i20 Nの最高出力は203psで、最大トルクは28.0kg-m。 0-100km/h加速は6.2秒でこなし、数字の面でも不足はない。
機械式のリミテッドスリップ・デフと、シフトダウンを助けてくれるレブマッチ機能も備わる。ボディシェルは、標準のi20に対し12か所以上が強化されているという。ホットハッチとして、準備は万端といえるだろう。
見た目もヤル気度が高い。大きなスポイラーがリアに載り、アグレッシブなディフューザーとチンスポイラーで武装している。控えめなフォード・フィエスタSTと比べると、路上での存在感は大きい。
少しやりすぎに感じる読者もいるかもしれない。だが、特徴的なブルーを記憶に植え付けたいヒュンダイとして、許される範囲だと思う。
ランエボVIIIを彷彿させるコーナリング
AUTOCARが右ハンドルのi20 Nを試乗するのは、今回が初めて。2021年の初めに左ハンドル車に乗っているが、改めて特別感が強い。
エンジンのレスポンス、ステアリング、レブマッチ機能、ESCとエグゾーストは、それぞれノーマルとスポーツ、スポーツ+のモードから選択可能。さらにパフォーマンス・オプションとして、ローンチコントロールとシフトライトも追加できる。
Nロードセンスと呼ばれる機能も備わり、i20 NがS字コーナーなどに差し掛かったと判断すると、ハードコアなNモードへ自動的に切り替えてくれる。他にもGメーターや、個別のモード設定を登録できるNボタンも付いている。
選べる設定や機能を並べてみると、数の多さに驚く。走りの印象は何かに近いな、と感じていたが、同僚のひと声で腑に落ちた。三菱のランサー・エボリューションVIIIを彷彿とさせる。
小さなヒュンダイが英国郊外のコーナーへ飛び込んでいくさまは、まさにラリースペシャルのランエボVIIIを思い出させるものだった。特に、コーナー出口めがけてアクセルペダルへ力を込めていく時の感覚は、筆者の記憶の中ではかなり一致している。
i20 Nは素晴らしくダイレクトで、鋭くコーナーへ侵入し、エイペックスを回るまでニュートラル状態を保つ。出口が迫ったらデフをロックさせながらパワーを放出。フロントタイヤが激しく路面を蹴り上げる。