【ドイツ訪問】新型メルセデス・ベンツCクラスPHEV「C 300e」 日本人ジャーナリスト試乗
公開 : 2021.07.29 11:20 更新 : 2021.10.09 23:05
メルセデス・ベンツCクラスのPHEVである「C 300e」に、竹花寿実がドイツで試乗しました。EVへの架け橋になります。
もくじ
ー新型Cクラス PHEV「C 300e」追加
ー2021年現在 PHEVの役割とは?
ー210kmのルートでC 300eに試乗
ー常用域ではほとんどエンジンかからず
ーメルセデス・ベンツC 300eのスペック
新型Cクラス PHEV「C 300e」追加
今年2月に先代のW205の登場から7年でフルモデルチェンジとなったメルセデス・ベンツCクラス(W206)
発表当初のラインナップは、1.5Lまたは2.0Lの直4ガソリンターボまたはディーゼルターボに、ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を組み合わせたマイルドハイブリッド(とは言ってもISGは最大トルクが20.4kg-m!)のみだったが、PHEV(プラグイン・ハイブリッド)バージョンも後日追加予定である事がアナウンスされていた。
今回試乗したのは、そのPHEVモデルである。
新型CクラスのPHEVモデルは、2.0Lガソリンターボエンジンを搭載したC 300eと、2.0Lディーゼルターボエンジンを積むC 300deの2タイプが用意され、2022年初旬に欧州市場でリリースされる予定だ。
今回は、このうちガソリンPHEVであるC 300eセダンのプロトタイプに試乗する事ができた。
7月22日、メルセデス・ベンツは、2030年までに全てのモデルを電動化する計画である事を明らかにした。
「市場環境が許せば」という注釈付きではあるが、今後彼らは2024年までに3タイプのBEV(バッテリーEV)専用アーキテクチャーを用意し、それらを用いたモデルでポートフォリオを構築する。
当然、ICE(内燃エンジン)開発への投資は縮小してゆく。
つまりPHEVは、電動パワートレインではあるものの、もはや「繋ぎ」の技術とされてしまったわけだ。
純粋なICE車やバッテリーEVと比較して、複雑な機構を搭載し、開発・生産コストが高いわりには、LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)の観点でCO2排出量削減効果が低いPHEV。
2039年にCO2ニュートラルなメーカーとなる事を目指すメルセデス・ベンツとしては、早めに切り上げたいところなのかもしれない。
2021年現在 PHEVの役割とは?
だがPHEVには、顧客をBEVへと誘う効果が大きいという商品特性がある。
これまでに登場したモデルの多くも、電気モーターのみで50-60kmの走行が可能で、ユーザーはEV走行時にBEVについてある程度イメージする事ができる。
その点で、今回のC 300eは大幅な進化を遂げた。
C 300eは、204psの最高出力と32.6kg-mの最大トルクを発揮する2.0L直4ガソリンターボエンジン(M254)を搭載し、トランスミッションは9速ATの9Gトロニックが組み合わされる。
電気モーターは最高出力95kW(129ps)、最大トルク44.9kg-mで、システム全体で312psと56.1kg-mを発揮するというから、もはや少し前のハイパフォーマンスモデル並みのスペックである。
注目はバッテリーサイズである。
C 300eは車両後部に25.4kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載する。これは初代日産リーフの24kWhをも上回るのだ。
つまりC 300eはPHEVながら、一昔前のBEVをも上回る大容量バッテリーを積んでいるのである。
結果、C 300eのEVモードにおける航続距離はWLTPで最大110kmに達している。これだけ走れば、デイリーユースではほぼBEVとして使えそうである。
ちなみに充電は55kWの直流急速充電に対応していて、約30分間でフル充電が可能。11kWまで対応するオンボードチャージャーも搭載し、家庭用ウォールボックスでも充電できる。
なお今回の試乗車はセダンの2WDモデルだったが、市場導入時には、ディーゼルPHEVのC 300deとともに、セダンとステーションワゴンで2WDと4WDが選択可能になる模様だ。