【北米で人気のワケ】古いランドクルーザー 40系のオークションから見える名車の魅力
公開 : 2021.08.01 18:15 更新 : 2021.10.11 10:50
ランクルは誕生から70年目。日本車なのに、アメリカで人気が高いわけをオークションの傾向とともに分析します。本家トヨタから「復刻パーツ」の発表も。
40系が好まれるワケ
トヨタを代表するクロスカントリー・モデルのランドクルーザーが、誕生70周年を迎えた。それを祝うように、新型の300系がまもなく登場する。
70年にわたるランドクルーザー歴代モデルの中で、世界中の愛好家から熱烈な支持を集めているのが、1960年~1984年まで生産された40系だ。
40系ランクルは、アメリカを筆頭に世界各国に輸出され、走破性能・信頼性の高さを発揮して大活躍した。
機能を突き詰めた日本製の無骨なオフローダーは、遊び好きなアメリカの若者のスポーツギアとして着目する。本来はビジネスライクな実用車なのだが、シンプルな構造でメンテナンスも楽とあって、モディファイしてカスタム化する楽しみもあった。
こうして40系ランクルの新たな流れがアメリカで始まる。SUV発祥の国だけに、それまでにない視点で遊びのクルマとして創り上げてしまったのである。
普通であれば古くなると廃車にされてしまうのだが、40系ランクルは違っていた。高い実用性に加え、擬人的なスタイルとあいまって、趣味車としての地位を確立する。
どんな40系が取引される?
欧米のコレクターズ・オークションでGT-R、スープラ、NSXが人気を集めているが、ちょっと前はランクルが唯一の日本車だった。
とくに北米で開かれるオークションでは必ず姿を見せる人気モデルで、アメリカでいかにポピュラーな存在であるかを物語っていた。
40系ランクルは高い人気を誇るアイテムカーだけに、オークションに出品されるのは徹底的にレストアされた素晴らしいコンディションのものがほとんどである。
また出品車は、全般的にオリジナル志向が強いが、アメリカらしくカスタマイズされたものも見受けられる。
なかにはV8エンジンを積んで過激に改造されたものが出品されるのも興味深い。
アメリカで今いくら?
2014年に始まったコレクターズカー・バブルだが、その波は40系ランクルにも及び、それまで邦貨換算500万ほどだったものが、ピーク時には1500万円にまで跳ね上がっていた。
バブルが弾けたあとは順当に下落し、現在はアベレージ・コンディション(とはいってもほとんどはレストア済)なら3~5万ドル(約330~550万円)ほどで落札されている。もちろん程度に比例し、これより高額で落札されるものもある。
いずれもBJ40/43のメタルボディやソフトトップが主流となるが、そのなかで高額で落札される傾向にあるのがピックアップトラック型でロングホイールベースのBJ45だ。
40系の中では少数派で、ピックアップ文化があるアメリカでは人気が高い。
この3月に行われたバレット・ジャクソンのスコッツデイル・オークションでは素晴らしいコンディションのFJ45が2台出品され、どちらも11万ドル(約1200万円)と高額で落札されている。
FJ45はその人気の高さから、近年は南米から輸入しレストアを施して販売されるほどだ。
出品されている40系の全体的な傾向としては、純正パーツを使ってパワーステアリングやフロントにディスクブレーキなどアップグレードされたものが多いのが特徴だ。
しかし目に見えるところはオリジナルを保っているものがほとんどで、“旧いクルマに対する敬愛”が感じられる部分だ。