【むしろSクラス以上?】メルセデス・ベンツEQS試乗 新世代の頂点を体感
公開 : 2021.08.05 05:45 更新 : 2021.10.09 23:05
コロナ禍となってから初の海外試乗会に参加。「S」以上を感じるEQの頂点EQSに試乗しました。
スイスで試乗 EQブランドのSクラス
2020年3月に世界中で新型コロナウイルスのパンデミックが起きてからというもの、国際試乗会はまったくおこなわれなくなった。
世界中の自動車メーカーは、それでも世界中のメディアに最新情報を届けようと、オンラインイベントを積極的におこなっているが、やはり限界がある事は明白。
なんとかフィジカルイベントを実施できないかと試行錯誤を続けていた。
メルセデス・ベンツもそんなメーカーの1つで、ついに7月に「コロナ後初」の国際試乗会をスイス・チューリッヒで開催。わたしは幸運にも日本から参加する機会に恵まれた。
今回試乗したのは、メルセデス・ベンツEQSである。
4月に上海オートショーで発表されたこのモデルは、メルセデス・ベンツのEVサブブランドである「EQ」が世に送り出す、初の純電動ラグジュアリーセダンだ。
その存在が明らかになったのは、2019年9月に開催されたフランクフルトモーターショーで、この時にお披露目されたコンセプトカーのヴィジョンEQSは、「ほぼこのままの姿で発売される」とアナウンスされたが、実際に市販バージョンはほぼ変わらない姿で登場した。
「EQブランドのSクラス」であるEQSだが、新型Sクラスとメカニズム面の共通点はほぼ無い。
「MB.EA」と呼ばれる新開発の電気自動車向けモジュラーアーキテクチャーを採用したBEV(バッテリー式EV)専用モデルである。
頂点の「S」名乗る 妥協なき専用設計
メルセデス・ベンツは、これまでにもEQCやEQV、EQA、EQBとBEVをリリースしているが、それらはGLCやVクラス、GLA、GLBの車体をベースにBEV化したモデルである。
もちろんこれらのBEVは、もともとBEV化を見越したプラットフォームを使用しているので、無理矢理作ったというワケではない。
だが専用設計でないため、BEVとして理想的とはいえない部分があるのは否めない。
ICEの搭載も考慮されたプラットフォームを採用したBEVは、まずバッテリー搭載方法の点で自由度が低い。
もちろんフロア下を中心に搭載されているモデルがほとんどだが、それだけではBEVとしては不十分なため、ラゲッジ容量や前席シート下などが犠牲になる事が大半だ。
衝突安全性についても、BEVはICE搭載車とは搭載するコンポーネントも重量配分も異なるので、クラッシャブルゾーンの作り方も変わってくる。
専用設計の方が望ましいのは明らかだ。
BEV専用プラットフォームであれば、車両重量の点でもICE搭載モデルのために必要とされた部分を省くことができ、最小限に抑えられる。
またエアロダイナミクスの点でもBEVとして最適な設計が可能となり、結果、エネルギー消費量削減に繋がり、BEVのネックとなっている航続距離の拡大が可能となるのである。
EQSの開発にあたり、メルセデス・ベンツは、BEV専用アーキテクチャーであるMB.EAを採用することで、ラグジュアリーEVとして性能、安全性、実用性、そして快適性の点で、妥協したくなかったのだ。そこはやはり「Sクラス」なのである。