【時代が変わる】正統なランボルギーニの最終章 ウルティメが伝えたいものとは

公開 : 2021.08.04 06:45  更新 : 2021.10.11 13:56

NSXの生産終了に加え、ランボルギーニも1つの時代が終わりに。NA V12ピュアエンジンの最後の猛牛「ウルティメ」は、何を伝えたかったのか考えます。

ランボが迎えた大変革 自然吸気V12が…

text&photo:Ohto Yasuhiro(大音安弘)
editor:Tetsu Tokunaga(徳永徹)

100年に一度の大変革期を迎える自動車は、革命的な技術の誕生と引き換えに、旧来の価値との“別れ”を迎えようとしている。

それはイタリアの風雲児「ランボルギーニ」も同様。ランボルギーニのフラッグシップとして、常に先頭を突き進んできた自然吸気のV12気筒モデルが終焉を迎えることになったのだ。

アンヴェールを待つランボルギーニ・アヴェンタドールLP780-4ウルティメ
アンヴェールを待つランボルギーニ・アヴェンタドールLP780-4ウルティメ    大音安弘

そのフィナーレを飾るのが、限定車「アヴェンタドールLP780-4ウルティメ」である。日本初披露された雄姿と特徴についてお伝えしよう。

2021年7月29日、東京・六本木のランボルギーニのブランド発信拠点である「THE LOUNGE TOKYO」で、日本初公開されたのが限定車「アヴェンタドールLP780-4ウルティメ」。このモデルは、ランボルギーニのフラッグシップモデルの最終進化系であるだけでなく、ランボルギーニ史上、最後の自然吸気V12気筒エンジン車であり、そして最後のV12ピュアエンジンの新型車となる。

ランボルギーニの歴史を語る上で、V12気筒エンジンの存在は外せない。

1963年に創業した同社の市販車としてのファーストモデル「350 GT」は、フロントに3.5L V12気筒エンジンを収めたFRであった。

V12気筒を積むFRモデルの熟成と進化を図りながら、1966年には、初のミドシップカー「ミウラ」を発表。同じくV12気筒エンジンを積みながらも、レイアウトを横置きミドシップに変更し、スポーツカーとしての性能をより追求した意欲作であった。

開発者たちの飽くなき向上心は、「“J”(イオタ)」と呼ばれるレーシング仕様のプロトタイプも生みだした。そして、現在のフラッグシップモデルの直接的祖先となる「クンタッシ(日本名:カウンタック)」が、1974年に誕生。

これ以降、V12気筒エンジンは縦置きに改められ、シザードア(シザーズドア)がフラッグシップモデルの象徴となった。その歴史は1990年の「ディアブロ」、2001年の「ムルシェラゴ」、2011年の「アヴェンタドール」と飛躍的な進化を遂げてきたが、その歴史にピリオドが打たれようとしている。

シザードアから舞い降りる“体験”とは

思い起こせば、わたしも一度、アヴェンタドールLP700-4を駆ったことがある。早朝の都心を豪快なサウンドを響かせながら、走り抜ける姿は、まさにファイティングブルそのもの。

停車すれば、常に多くの視線が集まる。だから、シザードアを開いて降りるとき、わたしは照れ臭かったが、同時にちょっと誇らしい気分でもあった。

アヴェンタドールLP780-4ウルティメと、ダビデ・スフレコラ日本法人代表
アヴェンタドールLP780-4ウルティメと、ダビデ・スフレコラ日本法人代表    大音安弘

そう、V12気筒のランボは、生まれながらのヒーローなのだ。この雰囲気は、同じランボでも、ウラカンウルスにはないもの。もちろん、2台が劣るのではない。それだけ特別な存在なのである。

最後の自然吸気V12気筒の最新モデルとなる「アヴェンタドールLP780-4ウルティメ」は、V12気筒の歴史を締めくくる重要なモデルである。そのため、後期型アヴァンタドールであるカタログモデル「S」と、それをベースとした高性能な限定車「SVJ」の持つ魅力を凝縮した1台に仕上げられているのが大きな特徴だ。

最大の見所は、フラッグシップモデルのアイコンの1つ、最終進化系のV12気筒エンジン。ランボルギーニのエンジニアたちが、その限界に挑むべく、歴代アヴェンタドールで最強となる最高出力780ps/8500rpmまで向上。

この出力は、Sの40psアップ、SVJの10psとなる。

さらに性能を強化すべく、カーボンファイバーパーツの使用範囲を拡大することで、乾燥重量をSよりも25kgも軽い1550kgとした(共にクーペ比較)。

その結果、SVJと同じ2.8秒の0-100km/h加速を実現。

伝統の1つとなった4WDシステムとSより採用される後輪操舵機構の熟成を図ることで、低中速の敏捷性や高速安定性、コーナリング特性の向上など走りの良さもブラッシュアップを受けている。

記事に関わった人々

  • 徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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