【抗しがたいディーゼルの余裕】アウディSQ5 TDIへ試乗 ターボ+電動コンプレッサー
公開 : 2021.08.15 08:25
アウディの人気SUV、Q5の高性能版となるSQ5がアップデート。長距離をひと飲みにするようなディーゼルターボの勢いを英国編集部は評価します。
もくじ
ーディーゼルターボを維持したSQ5
ーディーゼル+クワトロで目をみはる推進力
ー反応が予想しやすく安心感の高い操縦性
ー抗しがたい長距離をひと飲みにする勢い
ーアウディSQ5 TDI(英国仕様)のスペック
ディーゼルターボを維持したSQ5
近年のアウディは、高性能モデルのSにディーゼルエンジンを組み合わせてきた。しかし最近、SQ7とSQ8はガソリンエンジンに切り替わっている。でも、フェイスリフトを受けたSQ5が燃やすのは軽油のままだ。
クーペ風クロスオーバー、SQ5スポーツバックの登場に合わせて、ワゴン風のSQ5もマイナーチェンジが施された。ビジュアル面とテクノロジーのアップデートが中心。より攻撃的なボディキットが、一番わかりやすい違いだろう。
他にも、選択したドライビングモードに合わせて点灯パターンが変化する、OLEDを採用したテールライトに、アウディ最新世代のインフォテインメント・システムなどが盛り込まれている。そして、重要な変更はボディの内側にも与えられている。
V6ディーゼルターボは、機械的な変更で効率が高められた。アルミニウム製だったピストンは鍛造鋼製になり、インタークーラーの気流経路は短縮。インジェクターの精度も上がり、ターボブースト圧の速やかな上昇を助けるという。
電圧48Vのマイルド・ハイブリッドの一部として採用される、電動コンプレッサーも更新。ブースト圧が高まるまで、より多くのトルクを生み出してくれる。
一方で最高出力は340psと、フェイスリフト前より若干ダウン。BMW X3 M40dといったライバルと比べると、馬力は見劣りする。しかし、71.2kg-mという極太のトルクが、より幅広い回転域で得られるようになった。最高出力の到達回転域も下げられている。
ディーゼル+クワトロで目をみはる推進力
トランスミッションは変わらず、トルクコンバーター式の8速AT。通常は前後40:60の割合で四輪を駆動する。トラクションの状況に応じて、フロント側へ最大70%、リア側へ85%まで伝達割合を高めることも可能だ。
SQ5の車高は、標準のQ5より30mm低い。試乗車には、フォアシュプルング・グレードで選べるオプションのエアサスは組まれていなかった。アダプティブダンパーにコイルスプリングというペアだ。
アップデートされたパワートレインでも、ターボラグを完全には解消できていない。それでも、純EVの圧倒的な瞬発加速には及ばないながら、SQ5の推進力には目をみはる。
車重は2tを少し超えるが、0-100km/h加速は5.1秒でこなしてしまう。トランスミッションも、標準のQ5が搭載する7速ATより反応が鋭い印象。フルスロットルでもハーフスロットルでも、ドライビングモードに関係なく、素早く変速を完了させる。
一方で高回転域まで引っ張ったり、ステアリングホイールのシフトパドルを弾く喜びが、増したわけではない。車内にパイプで伝導させられるエグゾーストノートは、もう少し説得力が欲しい。
車内で聞こえるサウンド自体は悪くないものの、ボンネットの下から聞こえるエンジン音との調和が取れていないように感じる。回転の滑らかさは6気筒エンジンらしいが、音響的にはディーゼルのままだ。
クロームメッキが光る、4本出しのマフラーエンドも残念。実は、バンパーの内側に本物の排気口が潜んでいる。