【新鮮なFFスポーツを再び】三菱FTO 2.0L V6マイベックで200ps 英国版中古車ガイド 

公開 : 2021.08.16 08:25

三菱のスポーツFFクーペ、FTO。英国ではマニアの間で高い人気を保っています。中古車との付き合い方を、英国編集部がご紹介します。

1994年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞

text:John Evans(ジョン・エバンス)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
三菱は最近、元気がない。英国でも。しかし、忘れがたい遺産を何台も残してくれている。英国ではショウグンを名乗るパジェロに、ランエボ、そして今回ご紹介するFTOだ。

当初、FTOは英国に正規輸入されなかった。しかし並行輸入で大量上陸。強い後押しを受け、モデル末期に至って英国のディーラーにも並ぶようになった。

三菱FTO(1994〜2000年/英国仕様)
三菱FTO(1994〜2000年/英国仕様)

今振り返っても、英国三菱の判断は理解し難い。FTOの車重は1200kgと軽量で、自然吸気の2.0L V6マイベック・エンジンは200psを発生。ティプトロ風の5速ATが組み合わされ、不足ないほど高速に走った。

この知的なATは、マニュアルモードでドライバーの運転特性を学習。ATモードで、そのプログラムを展開することが可能だった。現在英国で流通している70%のFTOが、5速ATを載せているようだ。

コンパクトな2+2のFFクーペ、FTOが発売されたのは1994年。その年に日本のカー・オブ・ザ・イヤーを獲得している。

当初設定されたエンジンは3種類。1.8L自然吸気の4気筒は124psで、2.0L V6の通常ヘッドは170ps。さらにマイベック(MIVEC)と呼ばれる電子制御の可変バルブタイミング・リフトコントロール・ヘッドが載る仕様では、200psに届いている。

トランスミッションは5速MTと、インペックス(INVECS)2と呼ばれる4速ATが当初選べた。グレードは、1997年のマイナーチェンジまでGSとGR、GP、GPXを提供。GPとGPXでは、オプションでビスカス式のLSDが組めている。

フレッシュ・ツーリング・オリジネーション

FTOのモデル名は、フレッシュ・ツーリング・オリジネーションの略。英国も含む右ハンドル車圏ではその魅力に気づき、FTOを積極的に並行輸入するようになる。英国へ入ってきたFTOのうち、90%はV6エンジンを載せている。

FTOで希少なグレードといえるのが、GPXリテッド。1994年のカー・オブ・ザ・イヤー受賞を記念して設定されている。

三菱FTO(1994〜2000年/英国仕様)
三菱FTO(1994〜2000年/英国仕様)

1997年にフェイスリフトを受け、大きなワンピース・フロントグリルを獲得。フロントのフォグライトとウインカーが、個別タイプから一体タイプへ変更された。

同時に若干パワーアップした2.0L V6エンジンのGXが登場。最高出力は180psへ引き上げられている。170psのGRも並行して売られていた。

さらに2.0L V6マイベックには、ハードコアなGPパージョンRが追加。アンチロールバーが強化され、機械式LSDと専用のリアスポイラーを標準装備している。オプションのATは、5速へアップデートされた。

英国の三菱が正規輸入を始めるまでに、約2万台の並行輸入車が路上に出現。現在の英国の中古車市場にも、数多く出回っている。

英国の場合、170psのV6エンジンをマイベックだと勘違いして売っている例もある。グレード表記が正確かも確かめたい。生産終了から20年以上が経ち、サビも進行している。スロープに載せるなどして、下回りの確認も忘れずに。

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