【欧州銘柄とは異なる体験】MG 5 SW EVロングレンジへ試乗 英国最安値の純EVワゴン
公開 : 2021.08.22 08:25
ブリティッシュ・スポーツの代表ともいえたMGですが、中国資本となり英国ではまだ健在。手頃な純EVのステーションワゴンを、英国編集部が評価しました。
もくじ
ー英国で最も安い純EVのステーションワゴン
ー 欧州ブランドとは異なるドライビング体験
ー26.4kg-mのトルクで勢いの良い加速
ーエントリーグレードなら訴求力も高まる
ーMG 5 SW EVロングレンジ・エクスクルーシブ(英国仕様)のスペック
英国で最も安い純EVのステーションワゴン
英国で最も安く購入できる、純EVのステーションワゴンがMG 5 SW EV。2021年、航続距離の長いバージョンが追加となった。
最新のMG 5発売から、1年ほどが経過する。2万5095ポンド(386万円)という手頃な英国価格で、ポルシェ・タイカン・クロスツーリスモとは別の、ステーションワゴン・ボディの純EVが購入できることが魅力となっている。
今回試乗したのは、新しく登場したロングレンジ仕様。57.7kWhの駆動用バッテリーを搭載し、402kmの航続距離を実現している。従来の航続距離は、344kmに留まっていた。ロングレンジ版は、最高100kWまでの急速充電器にも対応する。
MG 5 SW EVロングレンジの英国価格は、2万6495ポンド(408万円)から。航続距離188kmの、純EV版マツダMX-30に同等の値段が付いていることを考えると、訴求力を感じる人もいるだろう。リアシートは実用的な広さがあり、荷室容量は464Lもある。
ロングレンジ版に搭載される駆動用モーターは、これまでのMG 5と変わらない。最高出力156ps、最大トルク26.4kg-mを発揮し、0-97km/h加速を7.3秒でこなせる。家族向けのステーションワゴンとして考えれば、充分に活発だ。
トリムグレードは、下位のエキサイトと上位のエクスクルーシブの2段階。エクスクルーシブを選ぶと、英国価格は2万8995ポンド(446万円)へ上昇する。
ロングレンジ版には、アップル・カープレイとアンドロイド・オート、USBポート、バックカメラ、MGパイロットと呼ばれる運転支援システムが付いてくる。標準装備に不足は感じない。
欧州ブランドとは異なるドライビング体験
エクスクルーシブ・グレードなら、ヒーター内臓のパワーシートとオートエアコン、熱線入りミラーが追加となる。紙面上で比べるだけなら、他の純EVモデルが割高に感じられてしまう。
ところがMG 5のシートに座れば、安い理由が見えてくる。MGは現在、中国のSAICモーター社が擁するブランドの1つで、MG 5は中国ではローウィーi5として売られているクルマだ。ドライビング体験は、他の欧州ブランドから得られるものとは異なる。
車内は、傷の付きやすそうなハードなプラスティックで溢れている。スイッチ類は数年後に外れてしまうのでは、と感じる品質で組み付けられている。英国で売られるMGには7年保証が付いているから、恐らく大丈夫なのだろう。でも、印象は良くない。
前席の着座位置は不自然なほどに高い。思わず下げようと手を伸ばしてしまった。運転姿勢は、ステーションワゴンよりSUVのものに近い。シートはサポート性に乏しく、表面は合成皮革で覆われる。クロス素材の方が良いかもしれない。
それでもセンターモニターがあり、インフォテインメント・システムが使える。既製品の流用に見えるが、クルマの設定が変更できるメニューが実装されている。
処理速度が速いわけでも、グラフィックが美しいわけでもないが、操作はシンプル。すぐに使い方を覚えられる。