【価格2倍=魅力2倍?】ランドローバー・レンジローバー vs ベントレー・ベンテイガ 高級SUV比較 後編
公開 : 2021.08.22 09:45 更新 : 2021.11.25 18:14
高級SUVの頂点の一角をなす、ベントレー・ベンテイガ。モデルチェンジ間際のレンジローバーとの差はどれほどなのか、英国編集部が比較しました。
大柄なボディでも取り扱いしやすい
ランドローバーらしく、レンジローバーの運転姿勢はコマンド・ポジションと呼ばれる背を正したもの。大きなSUVでは、そのメリットを感じやすい。躯体は大きく、サイドミラーが張り出しているにも関わらず、視界に優れ路上での取り扱いはしやすい。
インテリアも機能的。ベンテイガも悪くないが、レンジローバーのスイッチ類は大きく、直感的に操作できる。インフォテインメント・システムは最新バージョンではないが、不満は感じられない。少なくとも、従来のシステムと比べれば遥かに良い。
インテリアに用いられる素材の品質や仕立ての水準は、ベントレーには及ばない。だが、車両価格が半分近いと考えれば、それ以上の価値は感じる。
ランドローバーには、さらに値の張るレンジローバーもある。5.0LのV型8気筒スーパーチャージド・ガソリンを搭載した、ロングホイールベース版のSVオートバイオグラフィーの英国価格は、17万9715ポンド(2767万円)する。オプションレスで。
V8スーパーチャージャーは素晴らしいユニットだ。だが、シガーソケットにローレット加工が施されていたとしても、D300の倍以上の価値があるとまでは感じられなかった。筆者としては、今ここにあるレンジローバーがベストと感じる仕様だ。
走り始めると、その印象は更に強くなる。運転しやすく、堅苦しくない。乗り心地はスムーズ。D300のディーゼルターボは、穏やかなアクセル操作では存在感が薄い。目一杯踏み込んでも、耐えられないようなノイズは放たない。
他に例を見ないほど多能力なSUV
レンジローバーのステアリングは軽く、切り込んでも重さが増したり、感触が濃くなったりはしない。しかし反応はとても正確。レシオは、ベントレーよりスローだ。
センターのアームレストを降ろし、適正な位置にシートを調整すれば、感心するほどリラックスできる。レンジローバーらしい。
ベンテイガには、コンフォートとスポーツ・モードのほかに、丁度良いブレンドのベントレー・モードが備わるドライブモードがある。実際、このSUVには活発な走りも快適な移動も、SUVらしい使い方も、多くが求められている。
論理的には、すべての両立は難しい。多くのことを達成するのはシンプルではない。しかしタイヤの助けもあり、ベンテイガはかなりの水準に達している。これほど多能力なSUVは珍しい。近いのは、アストン マーティンDBXくらいだろう。
技術的には、レンジローバー以上のことをこなせる。淡々と。ベンテイガの乗り心地はより硬く、ロードノイズも少し大きい。2台ともに装備するタイヤは21インチのオールシーズンだったが、市街地ではゴツゴツとした質感が伝わってくる。
姿勢制御も、ベンテイガはよりタイト。ボディロールは小さい。ステアリングの操舵感は重く、好感触。速く運転したくなる。
ベンテイガから感じるすべてがポジティブ。とても速いだけでなく、V8ガソリンエンジンはより良いサウンドすら聞かせてくれる。