【詳細データテスト】マセラティ・クアトロポルテ エンジンは秀逸 明確な剛性不足 運転環境も不備が
公開 : 2021.08.14 20:25 更新 : 2021.09.05 19:09
マセラティのフラッグシップにフェラーリ由来のエンジンを搭載し、期待は高まりましたが、モデル末期のシャシーは古さを隠しきれず、走りのスポーティさには不満が。また運転姿勢の右ハンドル化の弊害は、あまりに顕著でした。
もくじ
ーはじめに
ー意匠と技術 ★★★★★☆☆☆☆☆
ー内装 ★★★★☆☆☆☆☆☆
ー走り ★★★★★★★★☆☆
ー使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆
ー操舵/安定性 ★★★★★☆☆☆☆☆
ー快適性/静粛性 ★★★★☆☆☆☆☆☆
ー購入と維持 ★★★★☆☆☆☆☆☆
ースペック
ー結論 ★★★★☆☆☆☆☆☆
はじめに
最近のマセラティは、この手のメーカーがあるべき姿としてみれば矛盾したメッセージを発してきた。フェラーリ・エンツォがベースのハイパーカーである、2004年登場のMC12の記憶もいまだ鮮烈だが、その後は高級車ブランドとしての側面も拡大してきた。
かつてはBMW M5に対するイタリアの回答ともいえたクアトロポルテは、いまやメルセデス・ベンツSクラスに対抗するような高級サルーンとなってしまった。また、1990年代にはクーペ、さらに遡れば1960年代にスタイリッシュなGTカーだったギブリの名は、メルセデスやBMW、アウディを視野に入れた中型セダンに与えられ、ありふれたディーゼルエンジンすら搭載された。しかも、ブランド初のSUVであるレヴァンテまでも投入している。
これらのクルマは、マセラティのグローバルなビジネスを変革しようという大胆なプランの構成要素だ。生産台数の目標には遠く及ばなかったものの、かつてに比べれば、日常で目にする機会は明らかに多くなった。しかし、過去数十年に比べれば、もっと普通で、ほどほどの高級車ブランドとなってしまったともいえる。レザーやクロームを多用して高級感は増したが、エキサイティングな技術面の差別化は減っているのだ。
とはいえ、最近ではスポーティさの評判もわずかながら上げつつあるマセラティが、走りへの関心が強いドライバーを再びターゲットに据えようとしているのは明らかだ。英国でいえば、スーパースポーツのMC20を年内にも投入することがその一環であり、今回テストする物件もまた同じ流れにあるものだ。
クアトロポルテ・トロフェオは、最高速度320km/hを超えるセダン2台のうちのひとつで、スーパーSUVのレヴァンテ・トロフェオに続くハイパフォーマンスモデルだ。エンジンはフェラーリ由来のV8で、おそらくマセラティの最新モデルの中でも随一の走りを期待できる。その実力やいかに。