【栄枯盛衰】ひっそりと終焉ホンダ・オデッセイ なぜか最近売れているワケ

公開 : 2021.08.14 05:45  更新 : 2021.10.13 12:01

ミニバン一時代を築いたホンダ・オデッセイが歴史に幕を閉じます。そのオデッセイに起きている「異変」について解説します。

オデッセイに異変が起きている?

text:Takahiro Kudo(工藤貴宏)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

盛者必衰。

「オデッセイの終了」というニュースを知り、その言葉を思い浮かべた人も少なくないことだろう。

ホンダ・オデッセイ
ホンダ・オデッセイ    ホンダ

盛者必衰とは「栄えている者もいつかは必ず衰える時が来る」を意味する言葉。

いまは火が消えかかっているオデッセイだが、かつて大盛況だったことは多くの人の記憶に残っているに違いない。

そう、オデッセイはかつて大ヒットした車種なのだ。

そんなオデッセイの販売状況をみると、このところ奇妙な現象が起きている。

生産終了が明るみになったのは2021年6月だが、その翌月となる7月の販売台数が対前年同月比で230.4%をマークし販売ランキング24位と健闘しているのだ(販売台数は2131台)。

昨年7月はコロナ禍の影響で新車販売台数が少なかったのは否めないが、それにしても230%とは尋常ではない伸びである。

参考までに、昨年7月のオデッセイの販売ランキングは42位。

順位が大きく上がっていることから、オデッセイに何かが起きていることは間違いないだろう。

一時代を築く オデッセイ成功の軌跡

人気上昇の理由を探る前に、まずオデッセイの歴史を振り返ってみよう。

初代のデビューは1994年。翌年の1995年には年間12万5560台を販売して、乗用車(軽自動車を除く)の販売ランキングで4位に入っている。

ホンダ・オデッセイ
ホンダ・オデッセイ    ホンダ

人気の理由は、セダン感覚ながら広い室内を持つワゴンだったことだ。

セダンに近い感覚で乗れる3列シーターは、当時は極めて少なかった(日産「プレーリー」や三菱「シャリオ」などが存在したが)。

一方で当時はまだ「ミニバン」と呼べる車種がほとんどなく、多人数乗用車といえば商用バンを豪華装備にしてワゴンとして仕立てたワンボックスが一般的。

乗り心地や運転感覚などでセダンとの違いが大きすぎた。

そこで、セダンのような快適性や運転感覚を持ちつつ3列シートのオデッセイが発売されるやいなや、大ヒットしたという図式だ。

オデッセイはその後、2000年にも年間販売ランキング4位に入っている。このときの年間販売台数は12万391台。

フルモデルチェンジして2代目が登場した翌年にあたるが、1995年に初代オデッセイを買ったユーザーが2回目の車検となる5年目に、新型へ買い替えた需要が大きかったと考えるのが順当だろう。

だから前回のピークからちょうど5年後なのだ。

そして3度目のピークは2004年のランキング7位。

この時は9万7849台を販売したが、これもフルモデルチェンジの翌年に当たる。

この時は前回のピークから5年後ではないが、新型は思い切って背を低くした挑戦的なプロポーションで、それが市場から受け入れられたことで新規ユーザーも多かったと推測できる。

逆に、2005年の販売台数がそこまで多くなかったのは、従来型モデルに乗る既存ユーザーの買い替えが進まなかったのだろう。

ここまでが、オデッセイの成功の歴史だ。

その後は販売台数が大きく下がっていき、2007年以降はランク30位よりも下へ。

その後30位より上に浮上したのは2014年(3万2749台を販売して24位)と2016年(3万858台を販売した25位)だけとなる。

2014年は前年に5代目となる新型オデッセイが登場し、2016年は2月にハイブリッドが追加されている。

記事に関わった人々

  • 工藤貴宏

    Takahiro Kudo

    1976年生まれ。保育園に入る頃にはクルマが好きで、小学生で自動車雑誌を読み始める。大学の時のアルバイトをきっかけに自動車雑誌編集者となり、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。はじめて買ったクルマはS13型のシルビア、もちろんターボでMT。妻に内緒でスポーツカーを購入する前科2犯。やっぱりバレてそのたびに反省するものの、反省が長く続かないのが悩み。

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